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若者がまともに生活できる仕事を! ネットカフェなど調査

2007年05月19日

若者がまともに生活できる仕事を
ネットカフェなど調査
民青が府に申し入れ

 民青同盟大阪府委員会(三和智之委員長)は11日、 アンケート調査をもとに、 大阪府に対して 「まともに生活できる仕事を」 「人間らしく働きたい」 要望書を提出。 合わせて 「ネットカフェ暮らしの実態調査結果」 などの資料を示し、 深刻な青年の雇用・労働実態調査や、 働くルール・権利の広報活動、 就職支援事業の強化などを求めました。
 日本共産党の宮本たけし参院大阪選挙区候補、 同党府議団の阿部誠行、 小谷みすず、 山本陽子各府議が同行しました。
 要望項目は、 ▽府として働かせ方の実態をつかむ。 補助金を出している企業の実態調査を行い、 正規雇用拡大につとめる、 ▽サービス残業や偽装請負など職場の無法をただすためのルール徹底、 ▽労働者の権利を紹介するパンフレット配布など、 働くルールを知らせる取り組み、 ▽自治体など身近な場所に、 若者の相談窓口を開き就労支援を行う―など6項目。
 府商工労働部の木幡斉雇用推進室労政課長ら9人が応対し、 「JOBカフェにおいて正規雇用の拡大に努めている」 「補助金交付企業に雇用を含め地域経済に貢献いただくようお願いしている」 「偽装請負など法令違反行為は速やかに是正されるべきものと考えている」などと回答しました。
 懇談の中で、 日雇い派遣で働く青年は、 「交通費も出ない仕事が多く、 時給に換算すると最低賃金以下の6百円台になる」 と非正規雇用の実情を話し、 求職中の別の男性は、 「ハローワークで求人検索すると、 正社員の求人は減り、 製造業の派遣ばかりです。 社会保険や残業代が未記入の求人票など労働条件はどんどん悪くなっています」 と訴えました。
 宮本氏は、 「府の職員としても現場から青年の雇用改善へ政府へ声を上げてほしい。 JOBカフェなどに青年の労働相談窓口をつくるなど行政の対策強化を」 と求めました。

もう戻りたくない
長期利用者語る
背景に深刻な労働実態

  「もう2度とネットカフェで暮らす生活には戻りたくありません」。 阪急高槻市駅近くのインターネットカフェで2カ月間寝泊りしたことがあるTさん (23) が話します。
 登録型派遣のアルバイトをしていた昨年8月ごろ、 月7万円の家賃が払えずに、 漫画喫茶で一晩を明かしたのをきっかけに、 数店のネットカフェに寝泊りしながらのアルバイト生活が始まりました。
  「仕事がない日は節約のため図書館などで過ごしていた」 とTさん。 1日契約の派遣の仕事は、 時給は1300円から800円。 交通費は支給されず、 高槻市から交野市まで自転車通勤したことも。 八尾市での仕事では交通費を引くと時給は600円台にまで下がりました。 「普通の暮らしがしたい。 当時はそればかり考えていました」
 懸命に働いてもアパート代さえ払えず、 インターネットカフェで寝泊まり― 『ネットカフェ難民』 と呼ばれ、 社会問題になっている 「日雇い派遣」 で働く青年の実態は深刻です。 民青同盟が各地のネットカフェ前などで取り組む 「アンケート」 にも悲痛な声が寄せられています。
 大阪市淀川区内、 午後10時半。 インターネットカフェが入るビルの前で民青同盟の 「ネットカフェアンケート」 に、 男性Aさん (27) が答えます。 「1カ月間、 3万円の生活費で過ごしたこともありました。 いつネットカフェ難民になってもおかしくない状態でした」。
 コンビニエンスストアの店員や引越し作業員、 1日契約の派遣社員として工場内の軽作業などに従事。 「仕事を変えるたびに、 自分のしたい仕事がなんなのか、 自分を見失ってしまうんです」 と振り返るAさん。
 京橋駅前にあるネットカフェの店員は、 「私が働く店にも長期滞在者がいます。 ネットカフェで働き、 ネットカフェで寝泊りする人もいました」 と語り、 住之江区のネットカフェ店員も 「毎日20人ほどが朝まで過ごしているようですね。 常連の方も多くいます」 と話しました。

若者の声 「青年労働黒書」に

  「毎日10時間、 月20日勤務しても年収100万円以下。 バイトなのに正社員と変わらない働き方」 (20歳女性)、 「旅行会社勤務。 残業代は40時間までで、 それ以外はただ働き」 (26歳女性)、 「販売店では人不足で休めず心と健康が心配で退職した」 (32歳男性)
 民青同盟府委員会は、 「5・20全国青年大集会」 に向けて、 日本共産党とともに 「大阪青年雇用アンケート」 に取り組んできました。 若者たちの職場・雇用環境をめぐる悲痛な声から、 サービス残業や低賃金、 長時間過密労働など深刻な実態が浮き彫りになっています。
 このアンケートは、 駅頭やネットカフェ、 若者が集まる繁華街など各地で取り組まれ、 このほど355人分のアンケートが 「大阪青年労働黒書」 にまとめられました。
 黒書では、 正規社員は43.3%、 パート・アルバイト、 派遣、 請負などを合わせた非正規社員は45.6%でした。
 労働時間は1800時間〜3000時間が71%で最も多く、 3000時間以上と答えた人も10.2%いました。 年収では、 全体の46%が200万円以下。 残業時間は1時間以下と答えた人が45.5%と多かったものの、 3時間以上残業している人も16.5%に上りました。 残業代の未払いがあると答えた人は45.8%でした。
  「アルバイトから派遣社員になったが給料が下がった」 (23歳女性)、 「1日12時間の深夜労働で結婚も考えられない」 (20代男性)、 「8時間勤務で年収200万円以下。 ノルマに追われ心と健康が心配」 (24歳女性) などの不安の声が寄せられています。
 正社員でも、 「労働時間が長く有給が取りにくい」 (私学教員29歳男性)、 「長時間労働とノルマ、 責任とプレッシャーが苦痛」 (30歳男性) といった声や、 「主任になると残業代がもらえない」 (営業販売、 25歳男性)、 「入社2年で過労・ストレスで自律神経失調症に。 上司の無理解で再求職に追い込まれた」 (29歳女性) という声も。

インターネットカフェ

 府内繁華街や駅前商店街などで急増しているインターネットカフェの多くは24時間営業。 店内は、 パソコンを備えた個室タイプのブースなどが並んでいます。 フリードリンクバーのほか、 カップめんなどの食べ物を提供したり、 無料でシャワーの利用できる施設もあり、 夜間には、 住居を持たないフリーターの若者などが寝泊りする場として利用するケースが急増していると見られます。
 日本共産党は、 小池晃衆院議員が3月15日の参院厚生労働委員会の質疑で、 ネットカフェ難民の問題を取り上げました。 実態調査を国に求めたのに対し、 柳澤伯夫大臣は 「健康や安全管理、 正規雇用を増やしていくという立場からすれば好ましくない」 と述べ、 「どのような調査ができるのか検討したい」 と答えました。
 日本共産党の寺戸月美大阪市議は14日、 姫野浄元大阪市議、 宮島正・府政対策委員らと、 淀川区内のインターネットカフェを調査しました=写真。

4月にリニューアル
JOBカフェ視察

 民青同盟大阪府委員会は8日、 大阪府などが4月18日にリニューアルオープンさせた若者の就職支援施設 「JOBカフェOSAKA」 (大阪市中央区、 エルおおさか内) を視察しました=写真。 5月20日の全国青年大集会に向けた取り組みの一環で、 日本共産党の宮本たけし参院大阪選挙区候補、 小谷みすず、 山本陽子両府議らが同行しました。
 同施設は04年に国のモデル事業として府内に設置され、 適職診断や資格取得講座など、 若者の就職支援事業を実施。 今年3月までに約25万人が利用し、 1万7千人以上の就職につながったと言います。
 4月からのリニューアルでは、 とりわけ正規と非正規との間に広がる 「格差」 是正に向けて、 フリーターなどの 「正社員化」 に結びつける取り組みを強化。 中小企業への就職支援を含め、 詳細な企業紹介や、 模擬面接なども実施します。
 青年らは 「女性への求人内容はどういうものがあるのか」 「働く権利について学ぶことはできるのか」 などと質問。
 一行は、 就職活動にさえ足を踏み出せない若者のための若者就労自立支援センターや、 若者サポートステーション、 労働相談を行う大阪府総合労働事務所 (いずれもエルおおさか内) も視察しました。

投稿者 jcposaka : 2007年05月19日

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