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府「人権意識調査」 乱脈同和続けるため都合よく分析・解釈

2007年03月25日

石倉立命館大教授が解明
自由回答欄最多の意見は「逆差別」の指摘

 大阪府は、 02年3月末で国の同和対策特別法が終了した後も、 「部落差別が現存する限り、 同和行政は積極的に推進しなければならない」 として、 「人権」 の名で旧同和行政を続けています。 05年に実施した 「人権意識調査 (人権問題に関する府民意識調査)」 でも 「差別意識は増加傾向にある」 などと強調。 しかし、 民権連 (民主主義と人権を守る府民連合) の学習会で講演した立命館大学の石倉康次教授は、 調査データの独自分析を基に、 「同和行政や同和教育を継続することに府民の批判的な意見が強まっている」 と力説しました。

調査データを独自分析

  「人権意識調査」 は、 府が 「今後の人権教育・啓発施策などの効果的な取り組みの基礎資料として活用する」 (太田房江知事) として、 05年8月から9月にかけて20歳以上の府民7千人を対象に実施 (回答者3675人、 回答率52・3%) しました。
 民権連や日本共産党は国の同和対策特別法が失効した下での調査には法的根拠がなく、 逆に差別を誘発することになりかねないとして中止を求めていましたが、 府は調査を強行し、 06年3月に報告書を出しました。
 調査結果を分析した府設置の調査検討会 (座長=元木健大阪大学教授) は、 報告書で、 「同和地区に対する心理的差別の現実が厳しく存在」 し、 前回00年の調査と比べて 「状況がむしろ悪化する傾向にある」 と強調し、 「府民の日常生活の中にも、 部落差別の実態がある」 と結論づけています。
 これに対し、 石倉教授は、 調査報告書や府同和問題解決審議会の委員を通して入手した調査の元データを独自に分析。 民権連が17日開いた人権問題学習会で、 その結果について講演しました。

都合のよい設問や解釈

 石倉教授はまず、 報告書でも紹介されている、 自由回答欄に言及。 回答者の19%が計914件の意見・要望を書き込んでいますが、 その中で 「『同和地区』 は優遇されている、 逆差別になっている、 行政は支援しすぎ」 が201件と最多になっていることから、 石倉教授は 「同和行政・啓発の継続に批判的な意見が、 府民の多数によってわざわざ記述されている事実は、 重い」 と述べました。
 さらに石倉教授は、 同和行政を継続するために、 都合のよい設問や解釈が行われている例を紹介。 例えば 「結婚相手を考える際に気になること」 という質問で、 「相手が同和地区出身者かどうか」 が20・2%、 5人に1人以上あることから、 「結婚における同和地区出身者への差別意識がなお根強く残されている」 と報告書は断定しています。
 これに対し石倉教授は、 結婚相手を選ぶときにウエートの高い 「相手の人柄や性格」 という回答項目からあえて外され、 数値が過大に出るよう操作されたものだと指摘。 「同和地区出身者かどうか」 は第6位と下位で、 「とくに気にしない」 (28・3%) との回答よりも低いことから、 「過大評価し過ぎる」 と語るとともに、 「気になること」 は内心の問題であり、 直ちに 「差別」 と決めつけることはできないと語りました。

時代錯誤の前提に立ち

 石倉教授は、 国の同和対策特別法が失効した下で、 「同和地区」 が実在していることを前提にした調査を行うことは 「行政機関として筋が通らない」 と指摘。 結婚問題に関連した設問で 「あなた」 「あなたの親戚」 「友人」 で、 「もめたり、 反対にあったりしたことを聞いたことがありますか」 となっていることについて、 「これくらい多様な意味を含んだ設問は、 排除するのが調査票作成の常道」 と批判しました。
 石倉教授は、 報告書や検討委員会の分析には 「今日でもなお同和問題は深刻であり、 00年調査時点より深刻だとの結論を導き出そうという傾向が読みとれる」 と強調。 その根底には 「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」 とした国の 「同対審」 答申 (1965年) を、 歴史的背景から切り離して金科玉条のようにしている立場があると指摘し、 「大阪府の責任で税金を使い、 行政施策立案の基礎資料とする意図を持っているだけに、 無視できない」 と強調しました。



投稿者 jcposaka : 2007年03月25日

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