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府民サービス根こそぎ削る現府政と「オール与党」 暮らしまもる日本共産党の議席を全行政区から(案)

2006年07月10日
2006年7月10日  日本共産党大阪府委員会
はじめに

 07年いっせい地方選挙の前半、大阪府会議員選挙まで、9ヶ月を切りました。

 いま、府下市町村の役所には「市民税が10倍になった」「こんな高い国保料は払えない」「介護保険料の高さにびっくりした」等々苦情が殺到しています。小泉内閣が大企業への減税はそのままにして、国民には大増税を押しつけてきたからです。
 こうした国の悪政に輪をかけて、太田知事と知事を支える自民・公明・民主などの「オール与党」は、関空二期事業やダム建設など、大企業向け事業と予算は確保する一方で、福祉や中小商工業分野など、府民サービスを根こそぎ切り捨ててきました。
 府議会のなかで、こうしたやり方に反対し、「住民の福祉の増進を図ることを基本(地方自治法)」とし、府民の暮らしを守る立場を貫いてきた政党は日本共産党以外にありません。

 今度の選挙で、現有議席確保はもちろんのこと、1人でも多くの日本共産党府会議員をつくることが、府議会の力関係を変えて、悪政にストップをかけ、府民運動と力をあわせて切実な要求を実現する確かな保障です。

(1)いま大阪府政はどうなっているのか

 太田知事は03年知事選挙で「教育の分野で思い切ってやった。これからは福祉の分野や他の分野に広げていかなければ」(「朝日」03年1月25日)と府民サービスの切り捨てを府政の全分野に広げることを宣言しました。再選後は「行財政計画案」(04年版)を作成し、「全国一スリムな組織」をスローガンに、府民サービスを軒並み削減し、大阪府自体の解体に一路進んでいます。府民の暮らしと営業が「全国一」の落ち込みを示す大阪での、「全国一」の府民サービス切り捨ては、府民生活を極度に追いつめてきました。


1、府民の生活苦のなか、福祉・教育を全国最低水準に

 日本共産党が与党だった黒田府政時代(71〜79年)に実現し、全国に発信された誇るべき「老人医療助成制度」は、歴代の自民党府政のもと次々改悪されてきましたが、一定の水準は保持してきました。太田知事になって、04年には一般高齢者の助成はほとんど廃止されてしまいました。乳幼児、単身家庭、障害者への医療費助成制度にも自己負担を導入し、有料化、府の福祉医療助成の水準は、47都道府県のなかで最低水準になっています。
 また「全国一安い」授業料だった府立高校授業料も、「全国一高い」授業料となり、加えて全国にも例をみないエアコン代まで別枠徴収を実施。勤労者の学ぶ機会を保障してきた定時制高校を29校から15校に半減、中学校卒業者の進学率は全国45位の低さなのに、太田知事はこの6年間で12校の府立高校を廃校・募集停止にしました。今年度から、授業料免除制度の適用を、生活保護水準以下にまで下げ、減免対象者の4割を排除、学ぶ意欲をもった若者たちから、将来への希望を奪いました。

 府民の平均余命は全国46位の低さ。どこよりも健康を守る施策が必要です。ところが、保健所の縮小・廃止、成人病センターなど府立5病院の独立行政法人化をすすめ、府民の健康を守る公的役割を縮めてきました。保健師の数は全国45位、下から3番目という低さです。

 「格差社会」が社会問題化していますが、府民の貧困と格差の広がりは深刻です。可処分所得は97年からの8年間で2割減、勤労世帯の実収入は全国46位、完全失業率は沖縄に次いで2位、生活保護受給者の割合は府民40人に1人と全国平均の倍以上です。国民健康保険料が払えない資格証明書の受給者は、この4年間で約6倍にも増えています。
 こうした生活苦が拡大している中で、太田府政は府民サービスを徹底して切り捨ててきたのです。

2、中小商工業の疲弊に追い打ち

 小泉「構造改革」のもとで、全国の中小商工業は大きな打撃を受けています。
 なかでも大阪の中小商工業の経営悪化は深刻です。従業員20人以下の製造業者は、99年からの5年間で25%も減少し、地域の顔である小売業者も2割減って、商店街の衰退を招いています。こうした実態があるにもかかわらず、太田知事が00年に策定した「大阪産業再生プログラム(案)」では、4年間に投入された1580億円は、融資を除けば破たんしたりんくうタウンなどへの企業誘致関連につぎこまれ、既存の中小企業支援のための予算は増えていません。

 また官公需の中小企業発注率は約55%と、神奈川70%、愛知県70%、千葉県66%などと比べても、非常に低い水準にとどまっています。本来中小商工業者に発注できる府立高校のエアコン設置や警察宿舎の建て替えなどを関西電力や大林組など大企業が独占受注したように、官公需発注のしくみが大企業優先となっています。
 知事の誤った経済の舵取りが、中小商工業の疲弊に追い打ちをかけてきたことは明らかです。

3、「財政危機」を口実に府民サービスは切り捨て、ムダな大型開発は推進

 大型開発偏重の府政は巨額の借金をつくり、財政危機の最大の要因です。いまでは府民の納める税金の35%がその借金返しに使われています。
 ところが太田知事は、財政破たんの原因と責任にはフタをし、そのツケを府民におしつける一方、ムダな大型開発を「聖域」として続け、生活、福祉関連の必要な公共事業は逆に削ってきました。

 破たんのツケまわしの最たるものが、りんくうタウン事業です。企業進出がすすまず、当初の計画が破たんした結果、総事業費は8031億円(1962億円の利子を含む)にまでふくれあがり、府民負担は3018億円にものぼります。府は共同開発者の銀行には合計1800億円をこす利子収入を保障する一方で、買い手がつかない広大な空き地を、坪あたり月500円という破格の安値で貸してまで、企業誘致を促進しています。また、りんくうタウン事業の一部、ゲートタワービル会社も破たんし、255億円もの府費を投入してきましたが、さらに37億円を追加投入するというムダづかいぶり。

 さらに、「07年度に16万回を大きく超える」という過大な需要予測にもとづいて着手した関西空港二期事業もムダの典型です。国がいったん“凍結”の姿勢を見せると、知事と「オール与党」は関西財界とともに国に日参して働きかけ、07年度に供用開始をごり押ししてきました。1100億円を超す府費をつぎ込みながら、実際には11万3千回(05年度)しか利用がないため「利用促進」の名目で2億4千万円の予算を組むという矛盾に陥っており、二期事業の大義名分はありません。

 治水・利水両面から、現状で「対応できる」(府ダム砂防課長)と認めてきたのに、不必要な安威川ダム関連事業に今後1千億円をこす事業費を予定し、住宅需要が見込めないと事業の中断を決めた「水と緑の健康都市」関連事業や、阪神高速道路の新路線建設などは当初の計画より府民負担を増やしています。

 このような大企業むけのムダな大型開発路線は府財政をいっそう深刻にするとともに、府民福祉を圧迫し、大阪経済の活性化にもなんら役にたっていません。いまこそ予算の使い方の抜本的な転換が必要です。

4、部落解放同盟いいなりの同和利権を温存・継続

 いま、行政を食い物にしてきた同和利権の問題が、大阪市を舞台として大きな社会問題となっています。この問題は、大阪府自身も深く関わる問題です。02年3月に終結した「同和対策事業」には、大阪府内全体で01年度までに2兆8千億円もの税金が使われてきました。にもかかわらず法期限が終了した02年3月からは、あらたに「人権」の名を冠した一般施策として旧同和事業を継続しているのが太田府政です。

 市町村に対しても、27もの事業をおしつけ、府が事業費の2分の1を負担して、少なくとも年間18億1千万円(06年度)もの府費を注ぎ込んでいます。また部落解放同盟(「解同」)と関連団体への府補助金(約4億9千万円)も継続しています。

 さらに太田府政は、同和行政の継続の根拠づくりとして「人権意識調査」、旧同和地域の「小・中学校の学力テスト」抽出調査などをすすめています。これは、行政による「差別づくり」「同和地区の固定化」というべきもので、全国でも例を見ない異常なものです。

 こうした異常な事態が続いているのは、大阪府の歴代保守府政が暴力・利権集団である「解同」に屈服し、癒着してきたことが最大の原因です。「解同」いいなりの同和行政が様々な深刻な事態を生み出したにもかかわらず、大阪府は「解同」との交渉出席を「府の人権行政に役立つ」と、人権を代表する団体として高く評価するなど、全く「解同」との関係を断ち切ろうとしていません。

 くりかえし問題となる知事とハンナングループ・浅田満氏との“黒い噂”、02年に起きた食肉偽装事件への関与疑惑、松原食肉市場公社の破たん処理と25億円の無利子貸付金問題、旧羽曳野病院看護師寮の売却で特別の便宜供与をはかった疑惑など、府政の“闇”の部分を明るみに出すことも求められています。


(2)府民の立場で府政をチェック、府民要求実現に全力 日本共産党

1,府民の願いを府政に届け、命・くらし守る先頭に

 府議会のなかでは日本共産党以外の「オール与党」は「あれも削れ、これも削れ」の大合唱。府民の生活に心を寄せて、その願い、要求を代弁する政党は日本共産党しかありません。

 日本共産党は、府民サービスを根こそぎ削るような大阪府の「行財政計画」に反対してきました。太田知事が改悪した乳幼児、単身家庭、障害者医療への自己負担によって、受診抑制が起こっていることを指摘し、その限度額を月2500円に引き下げさせることができました。一度は廃止になった成人病センターでの細胞診を復活させたのも日本共産党の取り組みが大きな力となりました。

 また、府民運動と一緒になって、保育所の待機児童解消で、保育所建設の必要性を認めさせ、86園を新設。少人数学級の取り組みでは、ねばり強い府民の運動と日本共産党の要求で、06年度から小学1年生、07年度から小学2年生で35人学級が実現しました。昨年4月からは、小学校への警備員配置も実現しています。サービス残業をなくすための啓発パンフレット発行、中小企業向けの融資実績を向上させ、既存中小製造業や商店街支援の強化が始まったのも、日本共産党の追求が実ったものです。

 一方、太田府政を支えている、自民、公明、民主の「オール与党」は府民サービス切り捨てを太田知事に迫ってきました。「社会から支援をうけられるものは何でももらったら得やとか、そういう考え方がはびこっている…恐ろしいことが起こっている」(自民・阿部賞久議員)。また、35人学級実現に反対して「すぐ導入しなければならないほどの緊急性の高い課題ではありません」(自民・北川法夫議員)など冷たい発言を繰り返し、「乳幼児医療制度は就学前まで拡充を」「30人学級の実現を」「私学助成の抜本的拡充」など、府民の切実な願いがつまった「請願署名」についても、「オール与党」が一致して「不採択」にしてきました。

2,府政と府議会のあり方を府民の立場で厳しくチェック

 ムダの典型の関空二期事業への1100億円もの税金投入、治水面でも利水面でも必要のないにもかかわらず1643億円を投入する安威川ダム、住宅需要が見込めないのに開発を強行し、750億円もの赤字が府民に押しつけられようとしている「水と緑の健康都市」、これまで255億円投入しながら破綻したゲートタワービルへのさらなる37億円もの負担…。 

 これらのムダな大型開発の問題点を計画の当初から厳しく批判してきたのも、また、破たんが明確になった時点で税金投入の中止を求めてきたのも日本共産党です。

 民主党は巨大開発の失敗のツケである企業誘致を「思い切った決断」と知事を持ち上げ、公明党も安威川ダムの部分的な手直しにすら反対し、事業継続を求め(公明・杉本武議員)、「関空二期工事はどんなことがあってもやらなければ」(公明・鈴木和夫議員)など、自民党以上のムダづかい推進ぶりです。

 60年代から、「解同」の暴力・脅迫にも屈せず、乱脈不公正な同和行政の是正をもとめてきたのも日本共産党だけです。

 「オール与党」各党は「解同」にものがいえないばかりか、共産党が求める知事とハンナングループとの癒着の真相究明などを一貫してはばみ、いまなお必要のない同和事業の継続に賛成しているのです。

 日本共産党はまた、毎年「大阪府議会の民主的改革についての提案」を行い、議会の民主的改革をリード、議員公用車の廃止や会派視察の廃止などを実現しました。また、税金での議員の海外視察に唯一反対し、費用弁償の廃止も要求しています。

3,党派超えた府民の対話と共同を一貫して追及

 日本共産党は、府民の利益を第一に、どんな問題でも党派を超えた対話と共同を誠実に追求してきました。

 大阪府がめざすアジアとの友好関係を深めるために、その最大の障害となっている首相の靖国神社参拝問題については、知事・副知事、関西経済同友会、在日本大韓民国民団などの団体とも率直な意見交換を行ってきました。

 大阪経済の困難を打開するためには、大阪商工会議所、中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会など、官製団体を含め、幅広い団体との懇談・対話で大阪経済活性化の方途を探求し続けています。
 医療制度問題では、府内医師会・歯科医師会を訪問し、患者負担や混合診療の問題などで率直な意見交換を行ってきました。

(3)いまこそ大切な大阪府の役割 日本共産党はこういう立場で府政に臨みます

 いま、太田知事と「オール与党」は、関西財界と二人三脚で、都道府県の自治をなくし、国の出先機関にしてしまう道州制の導入に、全国の先頭切って突きすすんでいます。しかし、地方自治法では、地方公共団体は「住民の福祉の増進を図ることを基本」とし、都道府県は「市町村を包括する広域の地方公共団体として」「広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するもの」と位置づけられています。現在の大阪府政の姿は、現行の地方自治法からも大きく逸脱していると言わざるをえません。

 日本共産党は、大阪府が@府民のいのちと暮らしを守るなど、直接府民生活を応援すること、A広域行政だからこそ可能な商工業、農林漁業などの産業施策、環境、高度専門医療、研究・調査など専門的な施策を行うこと、B福祉や教育、社会保障など、市町村によるきめ細かな住民サービスを応援することなど、大きな役割をもっていると考えます。

 これらの役割を大きく発揮したのが、かつての黒田府政でした。 

 全国に先駆けてふみきった老人医療無料化、府医師会の協力で新たに28カ所の休日・夜間診療所を開設。府立病院に救急医療専門診療病棟を整備するなど医療を充実させました。

 庁内に官公需確保対策会議を設置し、中小企業向け官公需発注を43%から60%へ大幅に増やし、無担保・無保証人融資の限度額を、100万円から300万円に引き上げました。71年の「ドル・ショック」が中小企業の街・大阪を直撃した際、30億円の緊急融資を実施するなど全国に先駆けてドル・ショック緊急対策を行いました。10回の緊急融資の実施で、救済された中小企業は、1万余にも上りました。このような府の施策で、深刻な不況のさなかでも、府内の倒産は減少に転じました。

 広域行政としての府政の本領を発揮したのが、全国で初めて大気汚染の総量規制に踏み切ったことです。全国一厳しい環境管理計画を策定しました。94年には「環境権」を銘記した「自然環境基本条例」を制定しました。

 76年、財政危機に陥った時も、「福祉向上」と「財政危機打開」の両立を大方針に掲げ、大阪府地方財政制度研究会をつくり、法人事業税と法人住民税の超過不均一課税を実施するとともに、政府に対しても超過負担の解消を迫るなど、財政再建でも住民本位を貫きました。

 現在全国的にみても、東京都や京都府が、障害者「自立支援」法の実施で苦しむ障害者とその家族のために、4月から独自の負担軽減策を実施しています。福島県は疲弊する中心市街地の商店街を活性化するために郊外への大型店の規制をすすめています。また長野県や高知県は「解同」との関係を見直し、全県規模で同和行政の終結に向かっています。鳥取県では災害被災者に対する県独自の個人補償を実現し、大きな話題となりました。

 大阪府の年間予算は約3兆円、8万7千人の職員が働いています。この財政とマンパワーを「住民の福祉の増進を図ることを基本」に発揮すれば、市町村にも大きな影響を与え、府民の暮らしは大きく変わります。

 日本共産党は、大阪府が本来の役割を発揮し、国の悪政のもとで困難を極める府民生活を守り、切実な要求を実現するために当面次のような要求・課題をかかげ、府民のみなさんと力を合わせて奮闘します。
 
府民の命と暮らしを守る…介護保険や障害者サービスの負担軽減のための減免制度、国保料軽減のための府の補助金の復活、高齢者・障害者・一人親世帯への医療委費助成の拡充、生活保護世帯への一時金の復活など

教育環境整え、子育てを支援…府立高校授業料の引き下げと減免制度の改善、クーラー代の廃止、少人数学級の拡大、保育所待機児の解消、保育水準の低下を招かない認定こども園の基準策定、乳幼児医療費助成制度の就学前までの拡大と自己負担の解消など

中小商工業支援を強め、若者の雇用守るために…大型店の出・退店の規制、ものづくり支援、中小商工業支援予算の増額、中小企業振興条例の制定、農林漁業振興で地産地消をすすめ、自然と緑を残す、大企業にサービス残業を一掃し、若者の不安定雇用を正規雇用に振り返るよう働きかけるなど

安全、安心の町づくり・環境守る…震災対策、河川改修、あき交番対策や交番の新設、排ガス対策、ゴミ減量、公園建設と緑化の推進など

公共事業の府民本位の改革…ムダな大型開発は中止・凍結し、三セク破綻処理でもこれ以上の府民負担に反対、特養ホーム、府営住宅など生活密着型の公共事業を進め、府の官公需の中小商工業者への発注率を高めるなど

同和行政を終結する…同和行政は一切廃止、部落解放同盟と関連団体への特別扱い、便宜をやめ、府政との関係を断ち切る、同和をめぐる不正腐敗を徹底解明し一掃など

議会改革にとりくむ…海外視察や費用弁償の廃止、請願の実質審議や委員会審議の充実、政務調査費の使途の公表など

 府民のみなさん、ぜひ府政の改革と府民要求の実現をめざす日本共産党府会議員団を大きくしてください。必ずみなさんの期待に応えて全力で働きます。

投稿者 jcposaka : 2006年07月10日

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