政策・提言・声明

2018年02月12日

大阪府大・市大「統合」計画は中止を

 大阪市(吉村洋文市長)は9日開会の市議会に、昨年の議会から継続審議となっている市立大の第3期中期目標案(2018年4月から6年間)の修正案を提出しました。同案は「今中期目標期間中を目途とする大阪府立大学との統合による新大学の実現に向け、法人統合から大学統合に至る準備を進める」としています。維新府・市政は、来年4月に法人統合、続いて22年4月に大学統合をめざす方針です。

 もともと両大学の「統合」計画は、大学の内発的な要求にもとづくものではなく、学内議論と合意が十分でないことが繰り返し大学関係者から指摘されてきました。また、府と市の両大学への運営費交付金は維新政治のもと11~16年度、府大で6億6千万円、市大で6憶4千万円も減額されており、統合の財政的裏付けがきわめて弱いことが明らかになっています。法人統合は、府知事と大阪市長が任命する1人の理事長に大学運営の強い権限をもたせ、経営の一体化により「選択と集中の視点から」大学リストラを進めることが狙いです。

 両大学の卒業生らでつくる府立大学問題を考える会と市立大学の統合問題を考える会は昨年12月の声明で、「歴史と伝統、豊かな実績をもつ大阪市大と大阪府大は、府市民にとってかけがえのない財産」であるとして、道理のない大学「統合」の中止を求めています。

 日本共産党の小川陽太市議は昨年12月の市議会都市経済委員会で、「学生、教職員、卒業生、さらに市大で学ぶことを志す未来の学生にとっても、理解と協力を得られる大学発展の方途を見出すべきだ」として、大学法人統合関連議案に反対することを表明しました。

 府大・市大の法人統合関連議案は徹底審議のうえ、廃案とすべきです。学問の自由と大学の自治を蹂躙(じゅうりん)し、大学リストラを狙う府大・市大「統合」計画は中止し、学費軽減や大学運営費交付金の拡充による教育研究条件の拡充をはかることが必要です。両大学の存続と発展へ、府民・市民共同をさらに広げることが求められます。

(小林裕和・日本共産党大阪府委員会学術文化委員会責任者)

(「しんぶん赤旗」2018年2月11日付)

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