政策・提言・声明

2012年02月24日

橋下市長による違憲・違法の「思想調査」の中止・データ廃棄へ、民主主義を守る一点での広大な共同を

2012年2月24日
日本共産党大阪府委員会

(1)

 橋下徹大阪市長が全市職員アンケートの名で強行している「思想調査」に対して、多くの市民・府民の怒りが急速に湧き上がっています。法曹界をはじめ広範な有識者のなかでも違憲・違法との厳しい批判が相ついでいます。

 大阪府労働委員会は22日、異例のスピードで、大阪市(橋下市長ら)に対して、調査委託した野村修也弁護士(市特別顧問)らの「凍結」措置にとどまらず、市の責任において調査の続行を差し控えるよう、事実上の中止勧告を出しました。また、大阪市教育委員会は21日、当然のこととして、教職員に対して同様の調査を行わないことを決定しました。

 ところが、橋下市長は、府労委の勧告が出されてもなお、「法には抵触しない」と開き直り、調査の実施に固執しています。

 日本共産党大阪府委員会は、橋下市長による違憲・違法の「思想調査」を断じて許さず、完全中止に追い込むために、大阪と日本の民主主義を守る一点で、すべての府民・市民、広範な各界各層のみなさんに、力を合わせてたちあがることを心から呼びかけます。

 

(2)

 第1に、今回のアンケートは、憲法第19条に保障された思想・良心の自由、および第21条に保障された政治活動の自由を乱暴に踏みにじるものです。このアンケートが「思想調査」であることは、橋下市長自身が、その後明らかになった職員メール調査と合わせて「僕の趣味嗜好で思想調査をやっているわけではない」と認めています。

 第2に、憲法第28条と労働組合法に明記された労働組合の正当な活動を侵害する不当労働行為にほかなりません。府労委が「(組合に対する)支配介入に該当するおそれのある項目が含まれている」とし、「業務命令として回答が義務付けられ、また、正確な回答がなされない場合には処分の対象となり得ることが明記されている」と異常な権力的な強制に重大な懸念を表明したのは当然です。

 これまでの市当局や労働組合の側に正すべき問題があるとしても、だからといって、こうした違憲・違法が許されるものではありません。

憲法と法令を守ることが義務づけられている自治体の首長が、幾重にも憲法を蹂躙し、職員の思想・良心の自由を土足で踏みにじり、人格を丸ごと支配しようするのは、文字通りのファッショ的な恐怖政治、独裁政治そのものと言わなければなりません。

 

(3)

 さらに重大なことは、この「思想調査」の矛先が、市職員にとどまらず、すべての市民、府民、国民にむけられていることです。

 アンケートは「特定の政治家を応援する活動」、街頭演説などに職員を「誘った人」の氏名まで回答を求めており、その相手は市職員に限定されていません。大阪市長選挙・府知事選挙はもとより、2010年の参議院選挙、昨年のいっせい地方選挙も含む「この2年間」の調査です。これらの選挙で、一般の市民や府民、全国の国民が、大阪市役所の職員に、街頭演説への参加や支持・投票の声をかけたら、その人の氏名を報告せよというものです。

 まさに、市職員に対する「思想調査」にとどまらず、一般の市民・府民、国民に対する違憲・違法の「思想調査」をおこなうものとなっているのです。これは大阪市役所を、市民の福祉のための機関から、住民・国民監視のための秘密警察的機関へと変えてしまう、きわめて重大な問題といわなければなりません。

 

(4)

 橋下市長は、現段階では、市の責任において調査の続行を中止することを求めた府労委の勧告にもしたがう姿勢を示していません。いまこそ、広範な市民、府民、各界各層の幅広い共同と世論の力で、橋下市長に、違憲・違法の「思想調査」を完全に中止し、回収したデータを即時廃棄させようではありませんか。

 権力を乱用し、違憲・違法の行為を平然とおこない、それに対する批判には居直りと新たな攻撃で応える人物に、日本国憲法のもとで、政治にたずさわる資格はありません。

 日本国憲法に明記された基本的人権は、日本のあらゆる場所において、すべての国民に保障されなければなりません。その意味で、橋下市長による「思想調査」は、大阪市にとどまらず、日本の民主主義全体にかかわる重大な問題です。

 橋下市長と「維新の会」が、国政進出をねらって、あれこれの「政策」なるものをならべています。しかし、その本質は、彼らが大阪で現にすすめているファッショ的独裁政治を、国政に押し広げようというものにほかなりません。

 日本共産党大阪府委員会は、違憲・違法の「思想調査」とともに、この危険な野望を断固として打ち砕くために、大阪と全国の民主主義を守るすべての人々と共同して、全力で奮闘する決意を表明するものです。

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