政策・提言・声明

2015年01月15日

「大阪都」ストップへ
大阪の日本共産党と民主勢力の総力を

 1月8日、日本共産党大阪府委員会は次の声明を発表しました。

「大阪都」ストップへ、大阪の日本共産党と民主勢力の総力を

2015年1月8日 日本共産党大阪府委員会

「大阪都」をめぐる事態の急変、大阪の危機

(1)
 昨年末、公明党は、「大阪都」構想について、これまで「市長と維新が決めた協定書があまりに独断的であり、かつ内容もずさん」(佐藤茂樹府本部長・衆議院議員)として反対してきた態度から、「住民投票までは賛成する」と急転換しました。これをうけ、12月30日に開かれた「法定協議会」では、橋下市長が府議会と大阪市議会で否決された「協定書」をそのまま再提案し、これを1月13日の「法定協議会」で「議決」することを維新・公明によって強行しました。橋下市長は、2月両議会でとおしたうえ、5月17日に「住民投票」を実施するスケジュールをだしています。
 「大阪都」構想をめぐる状況は一変し、重大な危機に直面しています。こんなでたらめなやり方で「住民投票」が実施され、大阪市が解体される事態になれば、くらしと大阪の都市づくり、民主主義は台なしにされます。
 日本共産党大阪府委員会は、民主勢力のみなさんが大阪を愛する広範な人々とともにたちあがり、いまこそ「大阪都ストップ」「維新政治ノー」へと総力をあげることをよびかけます。

異常事態の中心問題がどこにあるか

(2)
 今回、橋下市長と「維新の会」がとった態度は、大阪の自治と民主主義を真っ向から踏みにじるものです。
 ――「大阪都」の「協定書」が昨秋、両議会で否決されたのは、この構想が大阪市をなくし、その財源と権限をリニアやカジノなどの巨大開発にふりむける。そのために府民・市民向けのサービスを根こそぎカットし、くらしをこわすものになっていることなど、世論からも、議会各会派からも、きびしい批判がつきつけられた結果でした。
 ところが「法定協議会」では、否決された「協定書」に何一つ修正を加えることもせず、そのまま押し通しています。
 ――橋下市長は総選挙で大阪の第一党を得たことで、「民意が変わった」とうそぶきます。しかし、「維新の会」は得票数・率ともに、前回から大きく減らしました。その一方、日本共産党をはじめ「大阪都」に反対する各党の得票数・率の合計は増えています。「民意」は明瞭であり、両議会での否決こそ、それにそったものでした。
 ――中身とともに、手法もまた異常きわまりないものです。府議会・大阪市議会が否決したものを、「官邸だのみ」で公明党中央や創価学会に働きかけ、密室取引をつうじてよみがえらせました。
 「中央」にすがって、「大阪都」をごり押しすること自体、ずいぶん情けない姿ですが、政権の思惑で、大阪の地方自治をゆがめ、じゅうりんする異常さは徹底的に批判されなければなりません。
 公明党の態度もきびしく問われます。市議団は、「住民投票には賛成する」が、「大阪都には反対」する。「橋下氏には退場していただく」とのべていますが、これほどの自己矛盾はありません。公党として内容に反対する「協定書」を大阪市民の「住民投票」にゆだねるなど無責任きわまりなく、政党としての自殺行為ではありませんか。
 今回の態度は、①ゆきづまり、窮地におちいる橋下市長を助けるもの、これまでの「法定協議会」をめぐるでたらめさをすべて免罪する点でも、②総選挙での「維新とのガチンコ勝負」、「大阪都」反対とのべ、公明党支持者、創価学会員、有権者を欺くものになった点でも、③「反維新」の4会派共同を裏切る点でも、大阪の政治史に重大な汚点を残すものです。
 「橋下氏に退場いただく」という態度が本当なら、今回の「協定書」承認にきっぱり両議会で反対すべきです。

新たに広がる矛盾

(3)
 今回の事態をつうじて、「大阪都」構想と「維新政治」のゆきづまりは、いっそう明瞭です。
 第1に、橋下市長と「維新の会」は、わが党をはじめ、議会各会派、市民から「大阪都」構想の中身に寄せられる大きな疑問や批判に、何一つまともにこたえられません。
 とくに、「大阪都」構想には庶民のくらしを壊す、何重もの構造があります。「地下鉄民営化」計画や「市民交流センター」10カ所全廃、「子育てプラザ」「老人福祉センター」「スポーツセンター」「教育相談事業」などをバッサリ削減。その財源を「なにわ筋線」(2500億円)、淀川左岸線延伸部(3000億円)など、総額1兆円をこえる巨大開発に注ぎます。さらに、「特別区」は福祉・医療をささえられない問題、くらしも、市民の声も遠ざける「一部事務組合」の問題、「何でも民営化」で公的責任を投げ捨てる問題、住民の声が届かない「区議会」の問題などについて、「いろんな問題点はあるだろうが、いまよりマシ」と居直るだけです。
 財政問題では、「大阪都になれば7000億円浮く」(橋下氏)「4000億円浮く」(松井氏)などのペテンがすっかりはげ落ち、語るほどにボロがでています。「いまの大阪市よりマシ」どころか、「大阪都」になれば、いまよりひどい巨額が採算のあてのない巨大開発に注がれ、議会のチェックが効かなくなります。「住民投票」にかける資格のないものであることは明らかです。
 第2に、あまりにもずさんで乱暴な手法が、大きな批判と矛盾を生んでいます。
 橋下市長と「維新の会」は、①「法定協議会」が「大阪都」の議論が破たんすると「出直し市長選挙」や「野党委員さしかえ」の暴挙にでて、「協定書」を「維新単独」で「議決」し、②議会で否決されると「専決」の脅かしをかけたり、「住民投票のための住民投票」という奇策で圧力を加え、③その挙げ句の果てに「官邸頼み」の「密室取引」で公明党の態度を変えさせ、「住民投票」にもちこもうとしています。
 この間の議会無視・じゅうりんの独裁的な手法には、「維新の会」内部からも批判がでて、府議会での過半数割れに陥る事態を招いています。今回の事態について、「維新」支持者からも、公明支持者からも、さらに大きな批判が加えられることは必至です。
 今回の公明党とりこみによる「協定書」の「議決」というゴリ押しも、「維新の会」の強さの表れではなく、「大阪都」のゆきづまりによって追い詰められた彼らが、なりふり構わず反動的に突撃し、突破しようとするものにほかなりません。共同の力で断固として打ち破ろうではありませんか。

根本から問われる「維新政治」

(4)
 もともと「維新の会」と「大阪都」構想は、大阪のゆきづまりを反動的に、右から打破しようという狙いをもったものであり、そこから「何とか政治を改革してくれる」との幻想も生まれました。
 しかし、「維新政治」の実際は、何をもたらしたでしょうか。知事として1000数百億円、市長として300数十億円のくらしにかかわる施策の削減、「地下鉄民営化」案など「何でも民営化」路線、「大阪都」ごり押しや市職員アンケートという名の「思想調査」にみられる強権・独裁的な府政・市政運営、マスメディアへの露出だけを狙いにした発言など政治の「劇場化」――大阪のゆきづまりはより深刻ではありませんか。
 しかも、橋下市長と「維新の会」は、「安倍政権頼み」に危険性ともろさをもちます。「改憲」「歴史認識」の二人三脚ぶりは、「憲法と地方自治破壊の突撃部隊」の本性をむきだしにしています。
 大阪のゆきづまり打開の道は、大阪のくらしと民主主義を破壊してきた政治の元凶――「大企業の利益第一」「公的責任の投げ捨て」「なんでも国に右へならえ」にメスを入れ、その中身を抜本的に転換すること以外にありません。
 橋下市長と「維新の会」による「反動的転換」を断固許さず、府民・市民のくらしを守り、大阪の前途をひらく民主的転換の道をきりひらこうではありませんか。

日本共産党の真価、発揮して

(5)
 わが党は、これまで「大阪都ストップ」「維新政治打破」をかかげ、全党が一つになって橋下市長と維新の暴走に立ち向かい、大阪のゆきづまりを真に打開する民主的対案をかかげ、「大阪都ストップ」の一点で一致する各党、団体と誠実に共同をつらぬいて、奮闘してきました。
 今回の事態をとおして、この日本共産党の役割がいよいよ重大になっています。総選挙で躍進した力を加え、「維新の会」が「住民投票」を強行するなら、徹底した論戦と草の根の活動、共同の陣を広げ、彼らの狙いを打ち砕くために総力をあげます。
 広範な民主勢力、心あるみなさんが、次のとりくみにともにたちあがることをよびかけます。
 ――今回の事態によっていっそうきわだつ、「大阪都」の中身、手法のひどさを、徹底して広げましょう。府委員会の「ええやんパンフ」や「明るい会・よくする会」の「大阪都Q&A」パンフ、1月発行予定の全戸配布ビラなどを活用して下さい。
 ――政党支持の違いをこえ、保守層、無党派層、さらに「大阪都」の中身に期待を寄せる人々のなかにもはいって対話をくりひろげましょう。公明党支持者にも、「大阪都反対をつらぬくのなら、協定書の否決を」と働きかけていきましょう。
 ――こうした活動のなかで、大阪の歴史と文化を愛する広範な方々と「大阪都ストップ」の一点での共同の輪を大きく広げましょう。
(大阪の進路をかけたいっせい地方選挙)
 「維新の会」の反動的野望を打ち砕くうえで、4月のいっせい地方選挙の意義は決定的です。日本共産党は「大阪都ストップ」、「維新政治を根本的に転換し、安倍政権の暴走からくらしと自治を守り、明日の大阪をきりひらく大阪府・市政をきずく」をスローガンにかかげ、次の政策をかかげ、勝利に総力をあげます。
 ――府・市政と予算を「暮らし第一」に、子育て世代も高齢者も豊かにくらせる大阪に――子どもの医療費助成の抜本拡充、国保・介護の負担軽減を府と大阪市の責任で
 ――巨大開発、カジノ頼みの「成長戦略」ではなく、府民・市民のふところをあたため、社会保障を充実させ、中小企業を発展させて「商都大阪」をよみがえらせる。公共事業を防災・福祉型に転換する
 ――「なんでも民営化」でなく、くらしと福祉、医療、防災などあらゆる面で、自治体としての公的責任をつらぬく
 ――少人数学級の拡充、豊かな中学校給食、どの子にも行き届いた教育を実現する
 ――消費税増税、集団的自衛権、歴史認識の逆流など、安倍政権の暴走にストップをかけ、防波堤になり、大阪からくらしを守る政治を発信する府政・市政を。
 戦後70年の節目となる2015年は、大阪の進路をめぐっても歴史的な転機の年になります。安倍政権の暴走と橋下市長と「維新の会」の暴走を大阪の共同の力で打ち破り、勝利する歴史的事業をなしとげようではありませんか。日本共産党大阪府委員会は、その先頭にたちます。

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