政策・提言・声明

2020年05月15日

5月14日の大阪府の「休業要請解除」にあたって

2020年5月15日
大阪府委員会新型コロナウイルス関連対策本部長 辰巳孝太郎

 5月14日、政府は39県に対して緊急事態の解除を決めた一方、大阪を含む8都道府県は「まだリスクが残っている」として継続するとしました。その中で大阪府は独自基準「大阪モデル」にあわせ、段階的に休業要請を解除することを決めました。

 大阪独自の基準とされた「感染経路が不明な新規感染者の7日間の平均が10人未満」「検査を受けた人に占める陽性者の割合(陽性率)の7日間の平均が7%未満」「重症病床の使用率60%未満」が、7日間連続ですべて基準を満たしたことで、今回解除に踏み切ったとしています。

 私たちは、「大阪モデル」発表時、これを府民の命と暮らしを新型コロナの影響から守る本物の「出口戦略」にするためには、①検査数を緊急に増やして感染実態を正確に把握すること、②長期化する休業要請への補償の具体策、③医療崩壊を防ぐ抜本的な医療・検査体制への支援、の3点を指摘しました。今回の解除にあたり、改めてこれらの観点が重要です。

 1つ目の感染実態の正確な把握については、専門家からも懸念の声があがっています。「陽性率7%未満」という今回の基準のもととなった樋坂章博千葉大学大学院教授は、「検査数が人口の1%未満の状況」での判断への疑念をはさんでいます。府の専門家会議座長である朝野和典大阪大学大学院教授ですら、「サイエンスとしての正確性に自信はない」(15日「朝日」)としています。

 この懸念を払しょくするカギは、我々も指摘してきたようにPCR検査を抜本的に増やすことです。そのため「保健所を通さないと検査できない」という“関所”をなくし、一部自治体で始まった、かかりつけ医の判断でPCR検査を行う態勢を、全府に広げることが重要です。

 2つ目の休業要請への補償については、これまで府内事業所の4分の1しか対象とされず、その線引きに不満の声が上がり、我が党は抜本拡充を求めてきました。大阪府はこれらの声に応え休業要請対象外の事業所なども支援金の対象とすることとしました。同時に、経済への影響は長期化が予想されるなか、引き続き休業要請の対象となっている事業者への補償や、失業、困窮者への支援など、府民の暮らしへの支援をさらに強めることが求められています。

 3つ目の医療機関への抜本的な対策と財政措置は、今後の第2波、第3波への備えとして求められる課題です。医療現場へのさらなる財政援助と、人的手当を行い、公衆衛生を担う保健所の体制拡充をすすめることを呼びかけます。

 

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