おおさかナウ

2019年12月15日

維新とのたたかいをどう進めるか
中村正男日本共産党大阪府委員会副委員長に聞く

中村正男さん

中村正男さん

 「来年秋・冬」の「住民投票」と「カジノ誘致」へ、ひた走る「維新の会」。これとどうたたかうか。日本共産党大阪府委員会の中村正男副委員長に聞きました。

 9月27日に日本共産党大阪府常任委員会アピール「維新との新たなたたかいを大阪のすべての党員、支持者のみなさんによびかけます」を出し、総選挙勝利と「都構想ストップ」「カジノNO」、大阪にまともな自治体を取り戻すたたかいを呼び掛けました。以来、府委員会に府議団・大阪市議団・堺市議団、各分野(タテ線)の幹部の皆さんも入る「闘争本部」を設置し、「住民投票」に向けては毎月、大阪市内の地区委員長・行政区責任者・市議団・タテ線責任者が一堂に会した交流を進めています。

国政をめぐって

 国政では「桜を見る会」問題への怒りが広がっています。ところが、維新の馬場幹事長は、NHK討論で“野党は新しいおもちゃを見つけてはしゃぐ子どものよう”などとトンチンカンなことを述べました。「森友問題」と同じで、安倍政権が追い詰められるとよほど困るのでしょうか。「最悪の補完勢力」ぶりをさらけだしています。
 かたや市民と野党の共闘の流れは確実に進んでいます。11月16日の大阪革新懇シンポジウムには、わが党の清水ただしさんと共に立憲民主党の村上史好さんが参加され、国民民主党の平野博文府連代表、服部良一社民党府連顧問からメッセージが寄せられました。1980年、「社公合意」で、日本共産党以外に共同しうる政党がなくなる下で、無党派の団体・個人と出発した大阪革新懇のシンポジウムに立憲野党がそろう姿には感慨深いものがありました。
 安倍政治と維新政治、大阪での「二重の逆流」を打ち破る共同を力強く進める時です。

「カジノ」で包囲し、「都構想ストップ」で打ち破る

「未来づくり」パンフ(左)と「カジノあかん」パンフ

「未来づくり」パンフ(左)と「カジノあかん」パンフ

 大阪の政治では、高すぎる国民健康保険料・介護保険料を引き下げることや中学校「チャレンジテスト」廃止など、府民要求に根差した福祉と教育、防災などの分野での活動と共に、「カジノ」「『都』構想」が大きな焦点です。
 「カジノ」は、府市IR推進局の下、どんどん前のめりです。しかし、人の不幸を食い物にして稼ぐのがカジノです。府民多数が反対しています。米カジノの最大手事業者が手を引いたり、カジノ推進派の中から「夢洲では駄目」と声が上がるなど、大きな矛盾をはらんでいます。
 「カジノ」は維新政治と対峙する、大きな焦点、分かりやすい土俵です。「カジノ反対連絡会」はパンフレットも発行し、府的に「100万署名」を打ち出しました。構成団体・構成員は1人5筆、地域連絡会では有権者比15%以上というものです。政党支持や「『都』構想」への態度を問わず、すべての府民に働き掛け、維新を包囲し、打ち破っていきましょう。
 同時に、「『都』構想ストップ」は、これが維新の政治戦略の柱を打ち砕き、彼らの政治的命脈を断つ課題です。
 公明党や自民党府連指導部の屈服があり、維新は「法定協議会」で問答無用に「協定書」づくりを進めています。しかし、その中身は、「特別区」では住民サービスを維持できない姿が浮き彫りになり、コスト削減のため「中之島合同庁舎」の珍論など、前回2015年の案の「バージョンアップ」どころか、いっそう破綻があらわです。
 「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」は、「住民投票」へ「共同闘争本部」を組み、「未来づくりパンフレット」を発行。11月には「府民の集い」を開きました。大阪市内の各区で、宣伝・学習会や町会長訪問、区民集会の計画などが進んでいます。

「大阪は一つ」に立ち上がろう

 強調したいことは、これらのたたかいに「大阪は一つ」で臨むことです。
 「カジノ」は府が誘致の主体であり、府民ぐるみでのたたかいが必須です。
 「都」構想は、「大阪市廃止・解体」が目的ですが、「特別区」が一度つくられたら周辺市はいつでも新たな「特別区」に巻き込まれる危険が出てきます。同時にそれは「大阪府」の一大変質をもたらします。
 先日、ある府庁OBの方と懇談したのですが、その方は、「都」構想によって、①「府」の仕事がもっぱら「大阪市域の開発」となり、「住民福祉の向上」にも、「衛星都市」にも顔を向けなくなる。②「特別区」からは消防・水道など一般市が持つ権限も吸い上げられる。そのいびつさは、やがては一般市からも権限を吸い上げる危険につながる。③いまでも地方交付税に頼らなければ運営できない府の財政が、さらに逼迫し、ゆがむ危険がある、と指摘していました。またこれまで大阪の「母都市」「成長のエンジン」役を果たしてきた大阪市の解体がもたらす負の影響は、府的に計り知れないと。
 「『都』構想」は重大な「府政問題」でもあります。「政令市解体」が直接問われる大阪市・堺市と衛星都市とのたたかい方はもちろん異なりますが、府民の暮らしと教育、防災、自治と民主主義が問われる一大課題として「都構想ストップ」のたたかいを起こしましょう。
 2020年は大阪にとってまさに正念場の年になります。「2つのパンフ」も発行され、宣伝・対話・懇談を進める材料はそろっています。日本共産党と民主的諸団体の真価を発揮し、共同を広げ、維新を打ち破る大きな流れをつくりだしましょう。

(大阪民主新報、2019年12月15日号より)

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