おおさかナウ

2018年10月28日

宮本岳志の国会レポート
映画「教誨師」を観て考えたこと

宮本衆院議員

宮本衆院議員

 今年2月に亡くなった大杉漣さんの遺作ともいうべき映画、「教誨師(きょうかいし)」をどうしても観ておきたくて妻と行ってきました。

 この映画は大杉さん扮する教誨師の佐伯牧師が、6人の死刑囚と一対一で向き合うやりとりが中心です。心を開かない無口な男、おしゃべりな関西の中年女、お人よしのホームレス、気のいいヤクザの組長、家族思いで気の弱い父親、そして自己中心的な若者。この6人と教誨師の言葉のぶつけ合いと、心の通わせ合いが描かれます。

 一人一人の人物の個性が、非常に色濃く描かれていて、その世界に引き込まれ、大杉さんとのやりとりから目が離せなくなります。監督の佐向大(さこう・だい)さんはインタビューで「『言葉って何だろう』ということを問いかける映画」と語っているように、「われわれの言葉は、本当に相手に届くのだろうか」ということを考えさせられる映画でした。

 佐向監督は「今は、悪いことをするとすぐに『あいつは死刑だ』『殺しちゃえ』みたいなことが言われ、世界的に見ても『自分と相容れないものを排除する』という傾向があります。それはとても危険なこと」とも語っておられます。

 いま政治の世界、特に米国大統領や日本の首相の政治手法は、そういう傾向を助長しているように思われます。私たちがそれに抗するなら深く考えなければならない問題を、正面から突きつけられた気がします。大杉漣さん最後のメッセージ、ぜひご覧になって下さい。(みやもと・たけし 日本共産党衆院議員 毎月第4週に掲載)

(大阪民主新報、2018年10月28日号より)

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