台風21号 各地に爪痕
市民生活・町工場・農業に痛手
共産党国会議員団が調査
日本共産党台風21号災害対策本部の山下よしき本部長(党副委員長・参院議員)、宮本岳志副本部長(衆院議員)、たつみコータロー事務局長(参院議員)は7日、泉州地域で被害状況を調査し住民の要望を聞きました。中野敏党府自治体部長、北村みき党衆院大阪19区国政対策委員長、同党の地元の地方議員が同行しました。
被害調査に訪れたのは阪南市、泉南市、泉佐野市、田尻町、熊取町です。
停電や駅舎全焼も
阪南市では水野謙二市長から被災状況を聞きました。水野市長は、防潮堤で高潮被害は最小限に抑えたものの、強風被害が深刻な影響をもたらしたと指摘。幼稚園や学校など公的施設の被災状況や、住宅被害に対応するブルーシート提供、落ちた瓦やがれきの収集、7日開設した「災害ボランティアセンター」などの取り組みを示し、「停電解消に向け市民への情報提供と電力事業者への要請を続けている。一刻も早く災害復旧へ全力を尽くしたい」と語りました。
激甚災害指定の要望も出され、山下、たつみ両氏は「過去の災害経験が蓄積され防災行政に生かされていると感じる。強風への備えなど新たな対策が今後は必要。現場の努力や要望を国政に届けていきたい」と語りました。
同市では4日午後、南海尾崎駅で火災が発生し、駅舎が全焼。南海本線が復旧した5日昼以降も全列車が通過していました。一行は復旧作業が進む尾崎駅を視察し、南海電鉄担当者から説明を受けました。
強風で電柱が倒れる被害も各地で起き、泉南市新家地区では電柱9本が根元から折れて道路をふさいだため、周辺は停電状態が続きました。山下、たつみ両氏らは現場近くの奥田耕平さん(74)を訪ね、被災状況を聞きました。
4日午後1時半頃、「バーン」と叩きつける音がして、電柱が倒れるのを見たという奥田さんは、「1961年の第2室戸台風の時より強い風だった」と語りました。夜間は懐中電灯で過ごし、情報を得るためラジオを届けてもらったと言います。冷蔵庫も使えない状態で、水槽の金魚にストロー状の筒で空気を送りました。「夜間も冷房が使えず、暑さでぐっすり眠れない。倒れた電柱が自家用車を直撃したが、どうすれば良いのか」と奥田さんは訴えました。
ビニールハウスが
田畑にも大きな被害をもたらしました。泉佐野市で40年農業を営む泉和彦さん(66)は、水ナスなど5棟のビニールハウスが破損。強風で金属製の骨組みが折れ曲がり、農業ハウスのビニールはぼろぼろに破れました。
「特産の水ナスなど、安定的に高品質な野菜を栽培するには、ビニールハウスが必要不可欠」と言い、1棟建て直すのに最大100万円ほど経費がかかると肩を落とします。
ブロッコリーや大根など、秋冬野菜の植え付け準備を進めていると語る泉さん。「ここであきらめるわけにはいかないが、経営被害は大きく今後が不安。安心して農業を続けられるような支援策があれば助かる」と訴えました。
搾乳ができなくて
「停電が続いた3日間、出荷できなかった生乳を泣く泣く捨てることになった」。熊取町の酪農家、北川一さん(82)は、「大切に育てた牛は家族のようなもの。酪農家にとってこれほどつらいことはない」と苦しい胸の内を語ります。
台風による停電で、牧場内の機械設備がストップ、搾乳機や生乳を一時保管する冷却装置、牛舎の照明設備も使えなくなりました。
1頭が1日に出す生乳は約20㌔で、牧場全体では数百㌔。乳牛の健康状態を保つため、搾乳は1日も休むことができません。手作業で搾乳したものの、生乳の温度管理ができず、メーカー出荷を断念しました。
山下、たつみ両議員らは牛舎の様子や、牧場内の堆肥加工の工程を視察。北川さんから電力復帰の見通しや経営への影響などについて聞きました。
農業と酪農の被害調査には、農民組合阪南支部協議会の山下博会長と下村晴道事務局長が同行しました。
一行は、田尻町内で関西国際空港の被災による影響を調査し、同町内のビニール加工企業で天井や壁が落下した被害状況を視察。続けて屋根瓦が落ちた民家で住民の要望を聞きました。
コンテナ・自動車が散乱 大阪市湾岸部も被害甚大
たつみ参院議員ら視察
たつみ議員は5日、全日本港湾労働組合阪神支部の河野照宜書記長らの案内で、大阪市内の湾岸部の被害状況を視察しました。松井一郎知事や吉村洋文大阪市長がカジノ万博の誘致を狙う、人口島夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)では、積み上げられていたコンテナ群が暴風で崩壊。南港(住之江区)の海運会社では、倉庫の屋根や設備が飛ばされたり、コンテナが屋根を突き破って垂れ下がるなど、大きな被害が出ていました。
住之江区内の視察には、わたなべ結・府国政対策委員長、つじい大介大阪市議候補も合流しました。府咲洲庁舎(旧WTCビル)に隣接する駐車場や道路では、多数の自動車が暴風に飛ばされ、割れた窓ガラスが散乱。周囲にはガソリン臭がただよっていました。
同区北加賀屋1丁目の銭湯「寿楽温泉」では屋根が飛ばされ、瓦が落ちるなどの被害が。経営者の浜田大学さん(64)は、たつみ議員らに「こんなことは初めて。6日に再開しようと思ったが、どうしても風呂に入りたいという高齢者もいて、応急処置をして入ってもらっている」と話しました。
大阪市西成区の視察には尾上やすお大阪市議、あだち雅之府議候補が同行。同区松2丁目では、ビル屋上にあった雨よけのトタン屋根が飛ばされて垂れ下り、道路が通行不能になる被害が出ました。
台風21号 深刻な被害 復旧・支援へ全力
共産党が調査・聞き取り
4日に大阪を直撃した台風21号の被害状況について、日本共産党国会議員団は6・7日に被災地を訪れ、関係者から被害状況や要望を聞き取りました。
(大阪民主新報、2018年9月16日号より)