おおさかナウ

2018年06月24日

「カジノ実施法案」廃案へ、日本共産党のアピールを力に、
共同の力、草の根の力で自民、公明、維新を追い詰めよう

 日本共産党大阪府常任委員会は13日、アピール「『カジノ実施法案は廃案に』――大阪から大きな声を」を発表しました。同アピール全文と、アピールを力に同法案廃案への共同を呼び掛けた、同党府委員会の中村正男副委員長の寄稿文を紹介します。

「カジノ実施法案」廃案へ、日本共産党のアピールを力に、共同の力、草の根の力で自民、公明、維新を追い詰めよう

日本共産党大阪府委員会副委員長 中村正男

なぜよびかけをだしたか

中村正男氏

中村正男氏

 日本共産党大阪府常任委員会は6月13日、「『カジノ実施法案は廃案に』――大阪から大きな声を」というアピールをだしました。

 安倍政権は国会会期を延長してでも、「カジノ実施法案」をゴリ押ししようとしています。この法案を廃案へという一点で広く共同をよびかけるとともに、国会論戦とともに、大阪の草の根からの活動で党が先頭にたち、この黒い野望を打ち砕こうと提起したものです。

 翌14日にはこれを手に辰巳孝太郎参議院議員らといっしょに大阪弁護士会を訪ね、大阪の野党各党にも「カジノ問題で共同を」とよびかけています。

 「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」は「人の不幸を踏み台にするカジノはあかん!」と独自の機関紙を発行しています。「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」をはじめ市民団体も署名活動やシンポジウム、集会、パレードなどを展開しています。

「実施法案」の重大な中身を語り広げて

「大阪からカジノ実施法案反対の声を大きく広げよう」と開かれた日本共産党の国会報告会=9日、大阪市中央区内

「大阪からカジノ実施法案反対の声を大きく広げよう」と開かれた日本共産党の国会報告会=9日、大阪市中央区内

 アピールは第2章で、「カジノ実施法案」のひどい内容をうきぼりにしています。「世界一の規制基準」が聞いてあきれる緩い基準、カジノ場面積の上限は法案から削除、カジノ業者が顧客に金を貸せるという前代未聞の条項、「マネーロンダリング」も「暴力団関与」もシャットアウトする保障がないこと、「カジノ管理委員会」にカジノ業者が加われる――などです。6月9日に開いた「緊急国会報告会」では専門家やギャンブル被害者を家族にもつ方の発言を含め、こうした問題が多角的に掘り下げられました。アピールでは、これらすべてがアメリカのカジノ大手資本の注文通りになっていることを指摘しました。

 一つだけ補足すると、私も昨年、韓国の江原(カンウォン)ランドを訪ね、「賭博中毒センター」の方々と懇談しました。ここでは周辺の4つの村の住民がカジノに吸い寄せられ、いっぺんに「賭博中毒」が増え、「カジノ難民」が現れたことから、いまは「月に1度」の入場規制がかかっています。現地の方々は「ソウルから200㎞の地でこうです。大阪のような大都市につくったらたいへんなことになる」と口をそろえて語りました。「カジノ実施法案」の「7日間に3日」など、ギャンブル依存症への歯止めを初めから外すようなものです。

 いまでも世論は「カジノ実施」に反対する声が6―7割に達します。安倍政権与党は「IR(統合リゾート施設)はカジノだけではない」とか、「カジノ面積は数%」などとごまかします。逆に言えば、大きな弱点が浮き彫りです。「IR」とは「カジノ」のことであり、今度の「実施法案」はアメリカのカジノ資本いいなりに国民の不幸を食い物にしようとするものだと語り広げるなら、法案を葬ることは可能です。

大阪の大きな役割

 「カジノ実施法案」を打ち破るうえで、大阪の役割は重要です。

 何よりも大阪の維新は府市IR推進局を設置し、「カジノ実施」「大阪誘致」へ躍起です。しかし、それは次の点で、彼らの本性をうきぼりにするものです。①「改憲」「森友隠し」とともに、「カジノ」で安倍政権・維新の一蓮托生ぶりをきわだたせています。②かつて橋下徹氏は「カジノは『大阪都』の試金石」と叫びました。大阪市を潰し、「一人の指揮官」になればやりたい放題できる。そのターゲットがカジノでした。③維新の「成長戦略」とは「カジノ」、つまり府民の不幸の上にしかなりたたないものです。

 まだ維新に幻想をもつ多くの方にも、今回の「カジノ」問題で示される彼らの本性を知らせ、維新にとって致命傷になるところまで追いつめましょう。

 また今回のカジノ実施法案を所管するIR担当大臣は公明党の石井氏です。その公明党にあって、最初にこの法案を了承したのは公明党内閣部会長である佐藤茂樹大阪府本部長です。佐藤氏は「カジノ推進法」の際に、大阪3区のわたなべ結さんが「公開討論」をよびかけましたが、ダンマリでした。今回も彼らは「なぜカジノ実施法案なのか」を大阪でも府民の前に正面から語れません。

 自民党を含め、「賭博推進政党」の公明、維新の国会議員、地方議員、候補者にも、「なぜ府民の不幸を生むカジノ実施法案に賛成するのか」を問おうではありませんか。

広く各層への申し入れ、対話、懇談を

 アピールでは、「広く野党各党、労働組合、女性団体、教育関係者、市民団体、中小企業、商店会、自治会、文化芸術団体、学者・弁護士、宗教者などによびかけ、懇談をすすめていきましょう」と訴えています。アピールの別刷りもそれにふさわしい規模で各地区委員会にも届けています。署名やビラも広く活用していきましょう。(なかむら・まさお)

「カジノ実施法案は廃案に」
――大阪から大きな声を

2018年6月13日 日本共産党大阪府常任委員会

(1)安倍政権は「カジノ実施法案」を今国会中に成立させようと衆院での審議をゴリ押しした上に、会期延長してでも参議院での強行を策しています。

 刑法が禁じる「民間賭博」をなぜ解禁するのか。世論調査でも「カジノ実施」に反対する声は6~7割を超えます。ところが、与党の自民党、IR担当相をだす公明党、そして「大阪誘致」を叫ぶ維新が手を組み、国会でまともな説明もないまま、審議も避け、「数の力」だけで押しとおそうとしています。

 日本共産党大阪府常任委員会は、「カジノ実施法案は廃案を」の一点で共同し、この大阪から、ともに声をあげることを広くよびかけます。

(2)日本共産党大阪府委員会は、「カジノ実施法案」の重大な中身を広く知らせ、たたかいをよびかけるため、6月9日には「緊急国会報告会」を開くなど、国会論戦と呼応した活動をすすめています。

 国会論戦をつうじて、「カジノ実施法案」の根本問題が、アメリカのカジノ資本の要求にこたえ、「賭博合法化」を策したものだということが浮き彫りです。

――「世界一の規制水準」どころか、「7日間で3日間は入場できる」「入場料は6000円」とするだけです。日本人がターゲットにされ、ギャンブル依存症は深刻に広がります。

――巨大カジノの設置をもくろむ米カジノ資本の要求通り、カジノ場面積の上限は、法案からは削除され、明記されませんでした。

――法案にはカジノ事業者が顧客に金を貸せるというとんでもない項目が明記されています。これは客が負け続けても、掛け金を用立てることで、どこまでも食い物にしようというものです。

――「マネー・ロンダリング」も、反社会的勢力の関与も、シャットアウトする保障はありません。

――カジノを規制する「管理委員会」にはカジノ業者が加わることも排除されないことも明らかになっています。

 こうした深刻な内容について国会では十分な審議がなされず、地方公聴会も開かれないなど、国民の声は反映されていません。「カジノで経済成長、観光振興」をうたうのに、政府からどれほど「成長」が見込まれるのか、その試算さえだされません。またギャンブル依存症の増大をはじめ、経済的、社会的に生み出される重大な「負の試算」もいっさい出されません。

 そもそも「カジノ実施法案」はこれまで刑法が禁じていた民間賭博を解禁しようという暴挙を企てるものであり、その条文は200条をこえるという介護保険法以来の膨大なものです。これを十分な審議なしに強行するなどあってはなりません。

(3)維新は、国会で安倍政権と一蓮托生で「カジノ実施法案」強行をもくろんでいます。大阪府・市でつくる「IR推進局」は「国会でようやくここまできた。カジノ実施法案が成立したら、大阪誘致のとりくみを加速させる」と公言しています。

 維新は「カジノ」と「万博」をセットに、巨額の税金を注ぎ、「大阪の成長の起爆剤にする」といいますが、カジノは人の不幸、府民の不幸を食い物にする以外に、何の財も、利益も生み出すことはありません。

 「観光戦略」ともいいますが、大阪を訪れる外国人の多くは「食」や歴史・文化に魅力を感じてのものであり、「カジノで集客」などは邪道です。

 維新の橋下前代表はかつて、「カジノが大阪都構想の試金石」と叫びました。みずからの戦略のために、人の不幸を踏み台にするカジノを解禁することも、大阪に誘致することも、私たちは断固反対します。

(4)大阪でも府民の多数は「カジノはノー!」としています。こうした府民世論に根差し、カジノ実施法案を廃案に追い込むため、世論と運動をいまこそ大きく広げましょう。

 「カジノ実施法案」の重大な内容を知らせ、語りあい、府内のすみずみから「カジノ実施法案はあかん」の声を広げましょう。

 広く野党各党、労働組合、女性団体、教育関係者、市民団体、中小企業、商店会、自治会、文化芸術団体、学者・弁護士、宗教者などによびかけ、懇談をすすめていきましょう。

 法案をすすめる自民党、公明党、維新の議員、支持者などへの働きかけをすすめましょう。

 「あかんカジノ大阪ネットワーク」「大阪市をよくする会」「明るい民主大阪府政をつくる会」など、多くの団体がすでに署名やプラスター、独自ビラの発行などをすすめています。

 各行政区、地域で、シンポジウム、集会・パレードも各地ですすめていきましょう。

 日本共産党はその先頭にたって奮闘する決意です。

(大阪民主新報、2018年6月24日号より)

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