おおさかナウ

2017年06月04日

不毛な制度いじりやめよ
都構想蒸し返し 維・公が賛成
法定協議会設置 瀬戸共産党市議団団長が反対討論

 5月26日の大阪市議会本会議で、大阪市を廃止して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想の制度設計を行う法定協議会(法定協)の設置議案が、維新と公明などの賛成多数で可決しました。同月25日に開会した府議会でも可決の公算で、松井一郎知事や吉村洋文大阪市長は来年秋の住民投票実施まで公言。2015年5月の住民投票で「ノー」の審判が下ったにもかかわらず、再び「大阪都」構想の設計図づくりに踏み出すもので、各界から怒りの声が起きています。

公明が修正を受け入れ賛成

 法定協設置議案は吉村洋文市長がことし3月議会に提出しましたが、前回と同じ規約内容であるとして公明党が修正を要求して、継続審議になっていました。吉村市長は法定協の名称を前回の「特別区設置協議会」から「大都市制度(特別区設置)協議会」とし、大阪市を残して区の権限を強化する「総合区」についても、「必要な範囲において」「検討の状況に関し、報告を求め、協議を行うことができる」という項目などを加えて修正。「都」構想に反対しつつ「総合区」導入を掲げる公明党がこれを受け入れて、設置議案に賛成しました。

再提案の理由は全くの暴論

 本会議では日本共産党と自民党が反対。反対討論で日本共産党の瀬戸一正団長は第1に、「都構想は住民投票で決着済みであり、吉村市長はそこで下された市民の民意を重く受け止めて従うべきだ」と強調。設置議案の再提案は、維新が「住民投票は究極の民主主義」「これがラストチャンス」などと叫んだ言葉に反するものであり、為政者が勝手な理由をつけて前言を翻すことは、民主政治を否定するものだと断じました。

 第2に瀬戸氏は、吉村市長が「都」構想の見直しを公約に知事・大阪市長のダブル選に当選したことを再提案の理由にしているが、選挙公報や公営掲示板のポスターにも明記していないと指摘。「『都』構想の是非という一点で市民の判断を仰いだのが住民投票。市長選の結果で再挑戦のお墨付きを得たなどというのは、まったくの暴論だ」としました。

制度ではなく政策の中身を

反対討論に立つ瀬戸議員

反対討論に立つ瀬戸議員

 第3に、「朝日」世論調査(ことし2月実施)で、「都」構想には賛成32%、反対29%だが、大阪市がとるべき方針では「いまのままがよい」が46%で、「都構想導入」は33%にとどまることを示し、「市民全体の代表者である吉村市長の取るべき道は、都構想に賛成か反対かの住民投票を市民に突きつけることではない」と述べました。

 第4に瀬戸氏は、規約を修正しても大阪市を廃止して「特別区」を設置するための協議会に変わりはなく、「総合区」の設計図をつくるものではないと指摘。「修正で『総合区』の議論が進むかのように見せかけ、市民を混乱に持ち込むものだ」としました。

 最後に瀬戸氏は、市民が求めるのは「制度」を変えることではなく、政令市の大きな権限・財源を使って、暮らし・福祉・教育・中小企業を応援する大阪市へと「政策の中身」を変えることだと力説。「『都』構想を実現するなどという不毛な制度いじりに再び貴重な時間を費やすことはあってはならない」としました。

市民との矛盾はさらに拡大
共同を広げ住民投票阻止へ

日本共産党府委 中野敏自治体部長が談話

 日本共産党府委員会の中野敏自治体部長は5月26日に発表した談話で、法定協設置議案の可決は、住民投票での市民の審判を足蹴にし、「“勝つまでジャンケン”を策するものであり、こうした勢力に民主主義や自治を語る資格はありません」と批判しています。

 吉村市長が「ダブル選で(都構想)再チャレンジの民意を得た」と主張していることに対し、「選挙公報にもポスターにもそうした公約はありませんでした」と指摘。「総合区の議論ができるから」と賛成した公明党に対して、「大阪市を前提にした総合区を議論したいのなら、なぜ大阪市廃止の『大阪都』を議論する法定協議会設置が必要なのでしょうか」と厳しく問い掛けています。

 中野氏は、法定協設置可決は重大だが、「同時に、これに手を貸した両党の市民の良識、利益と相容れない姿があらわとなり、矛盾はさらに広がらざるをえません」と強調。日本共産党は府議会でも設置に反対し、住民投票など断じて許さないため、大阪市の下で市民の声を市政に生かし、住みよい街づくりと中小企業支援などを求めるすべての政党・団体・個人と共同して奮闘する決意を述べています。

 

(大阪民主新報、2017年6月4日付より)

 

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