おおさかナウ

2016年03月13日

住民の暮らし応援し福祉を支える
大阪市は本来の市政運営を
「副首都」口実の都構想やめよ

大阪市議会本会議 山中共産党市議団幹事長が代表質問

代表質問に立つ山中幹事長=4日、大阪市議会本会議場

代表質問に立つ山中幹事長=4日、大阪市議会本会議場

 4日の大阪市議会本会議で日本共産党大阪市議会議員団の山中智子幹事長が質問に立ちました。吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)が「副首都」の看板で「大阪都」構想に再挑戦しようとしていることや市営地下鉄・バスの民営化問題を追及するとともに、大阪市本来の仕事である市民の暮らしを応援する市政運営を求めました。

 山中氏はまず、橋下徹前市長の4年間について「大阪市をなくす・なくさないに明け暮れ、将来を見通した議論ができず、“失われた4年間”だった」と指摘し、次のようにただしました。

統治機構の議論は決着済み

山中氏 昨年5月の住民投票で大阪市の廃止・分割に「ノー」の判断が明確に示され、不毛な統治機構の議論は決着をみたというのが多くの市民の思い。今後は270万市民の負託に応え、市民の福祉の増進、住みよい街づくりなどを最優先にした、まっとうな市政運営に努めるべき。
吉村氏 “失われた4年間”とは考えていない。現役世代への重点投資など市政は大きく変わった。前市長がされたことは高く評価しているし、前市長から後継指名を受けて選挙に臨んだ。

失われた8年にする吉村氏

山中氏 一部の肝煎り施策は突出したが、270万市民の思いは置き去りにされた。4年間をそうとらえて市政運営すれば、同じことの繰り返し、“失われた8年”になる。
 今度は「副首都」で、府・市職員60人体制で新たに「副首都推進局」を設置する。首都自体に法律の定めもない。「副首都」の必要性やどこにつくるかなどは国政の問題。基礎自治体である大阪市が最優先で取り組むことでない。
吉村氏 「副首都」の取り組みで府市の広域的なインフラや経済政策を考える。東京一極集中でない、もう一つの極となる大阪を目指し、大阪を成長させる。それが最終的には市民サービスの充実につながる。
山中氏 「副首都推進本部」の会議では「大阪城で10万人盆踊り大会」「若者が集うゲーム大会」などの発言があり、ある新聞は「的外れな放談」「副首都の看板が泣く」と批判した。こんなことに来年度で8億円もの税金をつぎ込まれたら市民は浮かばれない。結局、「副首都にふさわしい統治機構」として、決着済みの大阪市の廃止・解体、つまり「都」構想を再び持ち出そうというもの。

百害あって一利ない都構想

吉村氏 大阪の成長には行政機構の議論が大切。住民投票の否決は重いが、市長選で「都」構想について3年間でバージョンアップ、修正案を作らせてと訴え、市民も一票を投じた。大都市制度のあり方の議論はするべき。
山中氏 市長選は「都」構想だけが争点ではない。「都」構想のみを問うた住民投票の結果がすべて。修正案というが、「都」構想の根本的な欠陥は隠せない。大阪市がなくなり、法律を変えないと「都」にはならない、特別区は財源・権限も半人前の自治体になり、庁舎建設などいま以上にコスト増となり市民サービスは悪くなる。
吉村氏 議論を重ねることが市民の負託に応えることになる。
山中氏 「都」構想はどんなに「バージョンアップ」「修正」しても、市民にとって「百害あって一利なし」の本質は変わらない。膨大な税金、時間、エネルギーを使い、市民に混乱・不和・分断を持ち込んで実施した住民投票で決着がついた。これを蒸し返すことは絶対にするべきではない。

超優良企業をなぜ民営化?

 山中氏は、地下鉄・市バスの民営化は2度にわたり議会で否決されているにもかかわらず、吉村市長が「民営化の方向性は理解されている」として民営化基本方針案を提案していることを批判。地下鉄は毎年300億円を超える黒字を出す「超優良企業」であり民営化する必要はなく、バス事業も地下鉄会計から応援して充実させるべきだと主張しました。
 また水道事業の民営化議案についても、昨年否決されたにもかかわらず、同じものが提案されたことは「議会軽視も甚だしい」と指摘。安全・安心の水供給が第一だからこそ、全国でもほぼ100%の自治体が公営だと迫りました。
 山中氏は橋下前市政以来、介護保険料値上げ、市営住宅の減免制度改悪、新婚家賃補助制度の廃止など市民施策は悪くなる一方だと強調。公立保育所の保育士は4割が非正規で、任期付き保育士を募集しても人が集まらず、保育所の定員を減らすなど、待機児解消に逆行する「異常なことが現実に起きている」としました。
 山中氏はカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致とそれに伴うインフラ整備、なにわ筋線などの巨大開発をやめ、借金返済のために積み立てている公債償還基金(今年度末見込み4700億円)のごく一部を適切に活用すれば、高すぎる国保料の引き下げ、敬老パスの1乗車50円負担の廃止など、市民のための施策が可能になることを示しました。

(大阪民主新報、2016年3月13日付より)

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