おおさかナウ

2024年07月27日

大阪万博「今こそ立ち止まれ」
ガス爆発、費用増加…難問山積
命が一番大事。万博中止を

大阪市議会特別委員会 日本共産党・山中智子議員が質問

 大阪市議会の2025年大阪・関西万博推進特別委員会が17日開かれました。日本共産党の山中智子議員は、夢洲の会場建設現場で起きたガス爆発事故への対応、万博協会が示した安全対策の問題点を明らかにし、横山英幸市長(大阪維新の会幹事長)に「危険な夢洲での万博開催は考え直すべき」と中止を決断するよう迫りました。

爆発事故後の事態の推移は

 大阪湾のごみの最終処分場である、夢洲1区の会場建設現場で3月28日に起きた爆発事故は、地下の廃棄物から出ているメタンガスに、溶接作業中に発生した火花が引火したことによるものです。
 山中氏は「メタンガスの危険性はもちろん、事故があって以来の事態の推移も怖い」と述べ、消防への通報は事故発生から4時間半後で、最初に公開された事故現場の写真は、全容が分かりにくい1枚だけだったと指摘。万博協会が6月24日に公表した会期中の安全対策について、「本当に安全なものと考えるのか」と、ただしました。
 万博推進局は、安全対策は専門家の意見を聞きながらまとめたものだと答弁。メタンガスの継続的な測定・調査や、換気対策を実施することで、「安全に万博を開催できるよう取り組むこととしている」と述べるにとどまりました。

〝安全神話〟に貫かれている

 山中氏は、「これまでも専門家の意見を聞いていたはずなのに、爆発事故が起きた」と反論。芝浦工業大学(東京都江東区)の稲積真哉教授(地盤工学)が、万博協会の対応について「メタンガス爆発の重大さ、メタンガスが発生するメカニズムを、あまりにも知らないのではないか」と批判していることを示しました。
 メタンガスが発生し続けている夢洲1区を会場にすることは、最初は全く想定されていなかったと強調。「危険だと指摘されていたのに、大丈夫だと言ってやってきて、爆発事故が起きた。対策を取ると言われても、本当に安全なのかと思わざるを得ない」と述べました。
 山中氏は、万博協会や国、大阪府市は「安全第一」を語りながら、安全対策で必ず責任を持つと誰も言おうとしないと強調。「最も陥ってはいけないのは、〝安全神話〟だが、この間の一連の動きは〝安全神話〟に貫かれており、非常に怖い」と語りました。
 山中氏は、昨年11月の決算特別委員会で質問し、世論調査で約7割が「万博は不要」と答えるなど批判が高まり、入場料で賄う運営費が赤字になれば、さらに市民や府民の負担が増えると指摘。「今止めることが、一番傷が少なくて済む」として、開催地の首長として中止を決断するよう、横山市長に求めました。
 「あの時より事態は一層深刻になっている」と山中氏。発生し続けるメタンガス、「万博よりも能登半島地震の復旧復興を」と求める声、万博の事業費がさらに膨張する恐れなど、「困難や難題は増えるばかり。事態を冷静に見て、いったん立ち止まるべきだ」と迫りました。
 横山市長は「子どもたちに夢や希望を感じてもらうために、課題には対応する。安全・安心の下で、にぎやかに開催したい」と開催に固執。山中氏は、「夢も希望も大事だが、命が一番大事だ。命だけは取り戻せない。立ち止まるべきだ」と主張しました。
 山中氏は、万博への児童・生徒の無料招待事業の意向調査で「参加しない」という選択肢がない中で、学校として「行かない」とは言いにくいとし、調査のやり直しを府に提案するよう、横山市長に要望。「子どもの命、安全を最優先に、市教委として〝参加ありき〟ではない対応を」と求めました。

(大阪民主新報、2024年7月28日号より)

 

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