おおさかナウ

2024年02月17日

高等教育の無償化を
日本共産党府委 文科省と交渉
アンケート1247人分届ける

 高等教育(大学・短大・専門学校)無償化の実現に取り組んでいる日本共産党大阪府委員会は7日、国会内で文部科学省交渉を行い、学生はじめ全世代の切実な声を集めた1247人分の「学費・奨学金アンケート」と、要望・質問書を盛山正仁文科相宛てに提出しました。交渉には、宮本たけし衆院議員(衆院大阪5区候補)、たつみコータロー元参院議員(衆院近畿比例候補)、清水ただし前衆院議員(衆院近畿比例・大阪4区重複候補)、衆院大阪小選挙区候補、地方議員、高校生・大学生、保護者ら35人が参加しました。

 1247人から寄せられたアンケートには、高い学費と奨学金返済に苦しむ青年・学生や親・祖父母など、すべての世代の切実な声が詰まっています(別項)。

高等教育無償化の実現を求めて交渉する参加者=7日、国会内

異常な高学費 学ぶ権利守れ

 参加者は、集まった声を基に、①日本政府が高等教育無償化の漸進的導入を国際公約した2012年以降、長く無償化が実現していないのはなぜか②返済困難な奨学生への対策はあるか③「異次元の少子化対策」の無償化新制度が全員対象でないのはなぜか④祖父母世代にまで学費負担が及んでいる実態を把握しているか⑤受益者負担の考え方は矛盾しないのか――と質問を文科省に投げ掛けました。
 文科省側は、2020年度から低所得世帯対象の給付型奨学金を設けていると説明。「こども未来戦略」で打ち出した無償化「新制度」(25年度から)が3人以上の扶養世帯に限定した理由について、「財源との兼ね合いで、支援対象の優先順位をつける必要があった」と回答。また「大学教育を受ける方と受けない方との公平性の観点も含め、慎重な検討が必要と考える」と、〝受益者負担〟論の立場を崩しませんでした。
 学生本人や親以外にも学費負担がのしかかる実態について、「そうした事例があると認識しているが、実際にどれだけの祖父母が学費を負担しているか、詳細なデータは持ち合わせていない」としました。
 4月に大学進学予定の高校3年生は、4人きょうだいで兄と姉が大学・専門学校に進み、妹はまだ高校1年生だと語り、教育ローンなど相当な額の負担をさせている親に遠慮を感じると訴え、「教育費の無償化は実現可能なのか」と質問。文科省側は、「確かに現時点で全員に無償化できていない部分はあるが、皆さんの意見を聞きながら今後も検討したい」と述べるにとどまりました。
 たつみ氏は、異次元の少子化対策に盛り込まれた学費無償化は、「3人を扶養している期間だけで、1人卒業して扶養を外れると、後の2人は無償化対象から外れる」と指摘。日本政府は高等教育無償化の漸進的導入を定めた国際人権規約を批准しているとし、「学ぶ権利を保障するために、子どもや保護者に寄り添った対応を」と求めました。

奨学金の返済を苦に自殺も

 奨学金の返済を苦にした自殺が起きている実態について文科省は、「若い方々が自殺に追いやられる現状は、重く受け止めている」とする一方、日本学生支援機構の貸与型奨学金制度では、返還期限の猶予や返還額の減額制度もあると説明。「奨学金の返還金は、次世代の学生に奨学金を貸し付ける原資となっているので、慎重な検討が必要だ」と述べました。有利子制度が必要な理由では、「奨学金事業の資金調達で発生する利息分を賄うため」と答えました。
 今春私立大学に進学予定の高校3年生は、年間140万円の学費を支払うため奨学金利用を検討していると述べ、「学生の将来に多額の借金を背負わせる奨学金制度はおかしい」と訴えました。

貯金もできず我慢して生活

 交渉では、奨学金返済中の青年労働者や子育て中の保護者も発言しました。
 総額200万円の奨学金を返済している青年は、「家庭は貧しく、4人きょうだい全員、高校から奨学金を借りた。貯金もできず突然の出費にも対応できない。欲しいものを我慢して生活している」と話し、支援制度の拡充を強く求めました。
 学費無償化アンケートで多くの学生と対話してきた民青同盟大阪府委員会の園部真拓委員長は、「学費は年間150万円で、親に仕送りは頼めず、奨学金を借りてアルバイトも掛け持ちしている」などの声を紹介しました。

 交渉には、大阪の各衆院小選挙区候補の竹内よしのり(1区)、小川陽太(2区)、わたなべ結(3区)、かわそえたつま(7区)、内藤こういち(14区)、沢田くみこ(17区)、馬場ひでき(18区)、北村みき(19区)の各氏、きよた純子高槻市議、藤田まり交野市議らも参加し、集めた声や要望を紹介しました。
 交渉後、参加者は、日本共産党の笠井晃衆院議員が、盛山文科相が2021年衆院選で統一協会の支援を受けていた疑惑を追及した、衆院予算委員会を傍聴しました。

アンケートの声から

○奨学金を月額12万円借りるが生活できず、コンビニで週5日バイトしている。

○学費が払えず大学進学をあきらめた。大変悔しかった。

○薬学部に合格したが、奨学金などは後払いのため入学金納入が不可能で、進学と夢を諦めた。

○奨学金を借りたくなかったのでバイトを3つ掛け持ちし、学校は寝にいっているようなものだった。

○祖父母の支援と生命保険を取り崩した。

○行かなかった大学に多額の入学金を払う制度は詐欺だ。

○夫婦で500万円の奨学金を返済している。

○返済が滞ると催促が来て、とんでもない利息が雪だるま式に増える。それが恐怖でストレス。

○学費を支払うために、母親の退職金を充てた。

○結婚できない。自分の生活だけで精いっぱい。大学卒業時点で借金があるのは人生大変。

○貯金が貯まらない。何かあったときにすごく不安。

○奨学金510万円と利子分60万円の総額570万円を、毎月23,000円20年の期間で返済。

○1千万円ほど奨学金を借りた知人は、交際していた人から結婚を断られた。

○800万円の奨学金を抱えて結婚し、毎月18,000円弱返済するが、利子分もあり30~40年完済のめどが立たない。

(大阪民主新報、2024年2月18日号より)

 

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