おおさかナウ

2023年11月25日

走れ! コータローレポート
串本町に第五福竜丸の記念碑が

 先日、和歌山県串本町で演説会が開催され、地元の仲江孝丸串本町議から、地域に第五福竜丸の記念碑があるとのことで訪れました。1949年、南太平洋で操業中に、米国がマーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験で、放射性物質を含んだ「死の灰」を浴びた第五福竜丸の記念碑が、なぜ串本町にあるのでしょう。
 第五福竜丸は1946年カツオ漁船「第7事代丸(ことしろまる)」として、古座町(現在の串本町)の造船所で造られたものでした。その後、マグロ漁船に改造され静岡県焼津市の方に売却されました。
 被爆後、船は国が買い上げて残すことになり、残留放射線が減少した後は、東京水産大学の練習船として改造され、船名も「はやぶさ丸」となりました。その後10年余りの運航を経て廃船処理することとなり、解体業者に金目のものは売られたそうです。しかし保存運動の結果、1975年美濃部都知事の時に夢の島(東京都江東区)の展示館が着工し、船体は今でも核兵器廃絶を訴え続けています。
 ところがエンジンは別の船に積み替えられ、その後も稼働していたのです。1977年その船が三重県熊野市沖で座礁し沈没。そしてそこはくしくも第7事代丸の材料となった松の木を伐採した場所の近くだったのです。
 古座町は原発誘致を巡って町が二分された過去があります。核兵器の愚かさを伝える第五福竜丸と原発誘致を跳ね返した住民。運命的なものを感じざるを得ません。(たつみ・こうたろう 日本共産党衆院近畿ブロック比例候補 次回は12月24日号に掲載)

(大阪民主新報、2023年11月26日号より)

 

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