おおさかナウ

2023年03月04日

政令市の力を市民のために
大阪市2023年度予算案
カジノや大開発 きっぱりやめよ
日本共産党大阪市議団 山中智子団長に聞く

 

山中智子団長

 大阪市の松井一郎市長は2月22日の市議会本会議に2023年度当初予算案を提案し、議会での議論が始まっています。日本共産党大阪市議団の山中智子団長に、予算案や市政の問題点、議員団の議席の値打ちや市議選勝利への決意などについて聞きました。

市民顧みずカジノに巨費

――予算案や市政運営をどう評価しますか。
山中 コロナ禍を受けて世の中が変わりつつある中、政治も市政も変わらなければなりません。何よりも地方自治体がやるべき仕事は、市民の皆さんからお預かりした税金を、市民の皆さんのために使い、命と暮らしを守り、お商売を応援し、教育を良くすることです。
 ところが10年以上続く維新市政は、こうした仕事を「民営化」「統廃合」で投げ出し、ものすごい額のお金を貯め込み、それを自慢してさえいます。いざというときに使うべき市の財政調整基金は2425億円(来年度末見込み)に上り、他の主な政令市と比べて、けた違いに多くなっています(グラフ)。こんなことは地方自治体のやることではありません。
 来年度予算案は市長選を控えた「骨格予算」とされていますが、カジノ誘致や万博、夢洲基盤整備や淀川左岸線2期事業などに巨額の予算を計上しています。一方で、コロナ禍や異常な物価高騰に苦しむ市民を顧みず、何の手立ても取ろうとしていません。
 国民健康保険(国保)料は来年度も、再来年度も一人当たりの平均保険料は10%もの値上げです。こんな国保料を払えるはずがありません。保険料を引き下げるには一般会計から国保会計に繰り入れることが必要ですが、「府内統一保険料率」を推し進める府の言いなりになって、繰り入れをしないのです。
 南海トラフ巨大地震が近付いていると言われています。トルコ・シリアの大地震の被害を見れば、カジノや夢洲開発よりも、この大阪の街や橋、道路を強くし、災害時に地域の皆さんが支え合える地域づくりが急務です。そこに市がもっと責任を持たなければならないのに、そうした施策は予算案にはまったく出ていません。
 コロナ禍で保健所体制の強化が求められ、市医師会も、かつてのように各行政区に保健所がなければ市民の命を守れないと提言しています。維新市政はこれに耳を貸さず、1カ所のまま広い場所に移転する準備をしています。

たつみ氏とカジノ止める


カジノ誘致が狙われている大阪湾の埋め立て地・夢洲を、たつみコータロー知事候補らと共に視察する日本共産党の大阪市議・候補ら=1月11日、大阪市此花区内

――「人の不幸の上に成り立つカジノ誘致は、地方自治体のやるべきことではない」と一貫して主張してこられました。
山中 はい。松井市長らは、カジノは「負の遺産」である夢洲を活用する「成長戦略」だと言ってきましたが、そもそも夢洲は建設残土や大阪湾のしゅんせつ土砂を捨てるために造られたもの。集客施設や高層ビルなどを建てるためのではありません。「負の遺産」どころか、家庭から出るごみの焼却灰の最終処分場で、今も受け入れています。それを無理やり造成して、ギャンブル依存症をいっそう深刻にするカジノをつくるというのです。
 松井市長らは「カジノには1円の税金も使わない」と言ってきたのに、カジノ用地の土壌対策で788億円もの公費を投入することを決めたことに批判が広がってきました。1社しかないカジノ事業者を逃さないために、さらに地盤沈下対策などでいくらでもお金を出そうとしています。
 国は昨年9月にも、大阪のカジノ誘致計画を認可するのではないかと言われていました。ところが市民の反対世論の広がり、カジノ用地の安すぎる賃料や不動産鑑定評価を巡る疑惑も浮上する中で越年し、国は簡単に認可できない状況が生まれています。この時に、知事選では「カジノ撤回」で旗幟鮮明な明るい会の、たつみコータローさんを押し上げ、一緒にカジノを止める仕事を成し遂げたいと思います。

種まいて市民と力合わせ

――予算案では、小中学校給食の全員無償化と、子ども医療費助成制度の所得制限撤廃を盛り込んでいます。
山中 この2つは評価できる点です。給食無償化はこの2年間、コロナ対策として国の交付金を使った臨時のものでした。日本共産党大阪市議団はこの間も、義務教育は本来無償であり、コロナ対策ではなく制度にすべきだと主張してきましたが、来年度からは条例で本格的に実施します。
 そもそも私たちは、中学校給食がなかった時代から、市民の皆さんの要求運動と力を合わせて、中学校給食の実現と無償化を求めて、何度否決されても、条例を提案してきました。子ども医療費助成も、制度がなかった時代から、助成実現へ条例提案を続けてきたのが日本共産党。私は24年前に初めて市議会に送っていただいて初めての仕事が、子ども医療費助成制度を拡充する条例提案でした。
 たまたま、今市政を担っている維新の会がこれらの制度を実現するという「花」を咲かせたのかも知れませんが、日本共産党が市民の皆さんと一緒に、種をまき、水をやり続けてきたからこそ、咲いた花だと私は確信しています。
――これからまきたい種は。
山中 まだまだたくさんあります。2度にわたる住民投票では、みんなの力で政令市・大阪市を残しました。その力を生かし、市民のための大阪市に変えようではありませんか。子ども医療費助成制度で残っている窓口一部負担をなくしたい。中学校の体育館にはエアコンがつきましたが、同じ災害時の避難場所となる小学校の体育館にもつけたい。
 全国で始まっている補聴器への助成制度も大阪で実現したいし、保健師さんをうんと増やし、保健所を一つ、また一つと各区に増やしていきたい。「種まく人」「水をやる人」がいなければ、切実な願いは実現しません。「種まく人」「水をやる人」である日本共産党の議員がいないような市議会を絶対につくるわけにはいきません。

共産党議席は市民の議席

――目前の市議選で、維新の会は大量立候補で単独過半数を狙っています。
山中 日本共産党が現職議席を持つ住吉区、淀川区、東淀川区、そして私が送り出していただている城東区は定数5。いずれも維新が3人の候補を立て、日本共産党は議席を失いかねない厳しいたたかいです。
 いま市議会の中で、カジノや夢洲の巨大開発の無駄遣いはきっぱりやめにして、市民の税金は命と暮らしに回せと、市民の声を届けて筋を通して頑張っているのは日本共産党しかありません。この議席は日本共産党だけのものではありません。「カジノはいらない」「市民の命と暮らしを守って」と願うすべての市民の皆さんの議席です。
 どんなことがあっても負けるわけにはいきません。現有4議席を守り抜き、さらに交渉会派となる5議席以上の議員団を実現するため、日本共産党の候補者を送り出して下さい。私も死力を尽くして頑張り抜きます。

(大阪民主新報、2023年3月5日号より)

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