おおさかナウ

2022年10月01日

府民の命と暮らし守る府政へ
日本共産府議団の懇談会 石川府議団長の報告(下)

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カジノやめ府民のための施策を

子ども医療費助成の拡充を

 「子どもの医療費で、窓口負担無料化にかかる経費は年間約9億円。また府の負担を18歳までに引き上げるには二十数億円程度。やってできないことはない」。日本共産党の石川たえ府議団長は、8、9の両日開かれた府的団体や市町村議員団との懇談会で、府議団の提案を紹介しました。

市町村の独自支援の半額を

 子どもの医療費助成は市町村が独自に18歳以下などへ対象拡大しています。府がその半額を財政負担すれば、市町村の子育て支援施策を後押しすることにつながります。
 35人以下学級を小・中学校の全学年で実施する経費は約68億円。これも「やってやれないことはない」と石川氏。「物価高騰で教育費支出を減らす家庭が多い。少人数学級で、分かる授業を丁寧に行えば、塾代に保護者が悩む必要もなくなる。子どもの心と体のケア、学力向上に欠かせない取り組みだ」と述べました。

少人数学級で学びの保障を

熊本と大阪だけが拡充なし

石川たえ府議団長

 府は少人数学級の拡大について、教育上有効だと認めながら「国が順次進めている」と背を向けたままです。府下の自治体が独自に拡充する動きがあるものの、大阪府は都道府県で少人数学級に予算を使っていない数少ない自治体です。
 大阪は高校中退率や児童・生徒の問題行動発生数が全国より悪化しています。今年の学力学習調査で、「自分に良いところがあると思う」「将来の夢がある」子どもの率も、全国より低くなっています。コロナ禍の下で子どもや保護者に中程度のうつ症状も増えています。
 こうした中で府はスクールカウンセラーを増員しました。しかし国の交付金の範囲内で、小学校598校へ月1~2回、府立高校161校とエンパワーメント・スクール10校へ月1回にとどまります。「評価するが、少ない」と石川氏は指摘します。
 府教委は、府独自テストの中学生チャレンジテストや小学生すくすくウォッチを「学力向上につながった」などと評価。しかし、チャレンジテストは「団体戦」と言われ、テスト結果が、同じ学校の別の生徒の高校受験の内申に反映する仕組み。すくすくウォッチは、子どもに心の中を繰り返し答えさせ、それを数値化するアンケートを含みます。

府立校に通学できぬ地域が

 府立高校は新たに3校が統廃合の対象に上げられています。2012年以降で既に14校の廃校が決められました。通える高校がなくなる地域が生まれています。
 石川氏は「府立高校の統廃合はやめ、少人数で一人一人の学びを保障することが求められる」と述べました。また学校給食に府が財政措置を行い、全員喫食に踏み出すべきと指摘しました。

黒字生かし暮らし守る提案

 石川氏はコロナ禍と物価高騰から暮らしを守る府議団の提案を紹介。非正規労働者への、暮らし支援緊急給付金制度(1人5万円)を創設▽中小企業への就労者の、奨学金返済補助制度を創設▽再就職支援を、民間人材サービス任せにしない▽全事業者を対象に、固定費や人件費の補助制度をつくる――などを挙げました。
 府の財政は14年間連続で黒字です。コロナ禍下の21年度も268億円の黒字でした。災害や財政不足に備えて積み立てている財政調整基金は同年度末、前年から331億円を積み増し、2037億円に達しました。

府独自の支出ほとんどない

 一方でコロナ対策はほぼ国の財政措置の範囲内で、府独自の支出はほとんどありません。
 石川氏は「国費の範囲内でしか対策を取らないから、コロナからも物価高騰からも府民を守れない。一方でカジノ・万博は取り組みを加速。『住民の福祉増進に寄与する』という地方自治体の本来の仕事は置き去りだ」と厳しく指摘しました。

カジノ前のめりの維新府政

 大阪・関西万博は推進本部を設置し、7月時点で職員194人を配置しています。23年には工事着工し、前売り券発売も計画しています。
 カジノを中心とする統合型リゾート(IR)は、誘致の是非を問う住民投票を求める約21万人分の署名が集まりました。しかし住民投票条例は維新や公明が反対し否決されました。
 石川氏は「計画審議の時も住民投票条例案の時も、少数会派の発言機会を繰り返し求めたが、認められなかった。住民意見にも耳を貸さず突き進んでいる」と指摘しました。
 府はIRの29年開業に向けて、府民理解促進のためのセミナー開催や府市と事業者が連携協力して依存症対策をすると強弁しています。しかし石川氏は「自己破産者や生活保護者の入場規制などは、いまだ検討もされていない」と指摘します。

府民生活守る施策の足かせ

 石川氏は、府が万博を呼び水にカジノをつくり、関連事業と称して巨大開発、インフラ整備、うめきたやベイエリア開発を進めようとしているとし、「万博・カジノが、府民生活を守りコロナ対策を進める足かせになっている。万博とカジノに投入しようとしている財源や職員を、コロナ対策に回していくことこそ求められる」と述べました。
 石川氏は府議団の実績の一部を紹介。コロナ無症状者の無料検査実施や、高齢者施設従事者の頻回検査実施、「子どもの貧困緊急対策補助金」の創設、府立支援学校の新校設置などを上げました。
 9月議会に向け、石川氏は「感染症対策も療養も自己責任にされて、府民が多く亡くなっている。維新に暮らしや命を守る気がないことを府民に知らせながら、府民の要求を具体的に提案していきたい」と話しました。

府民の命と暮らし守る府政へ日本共産府議団の懇談会 石川府議団長の報告(上)石川府議団長

(大阪民主新報、2022年10月2日号より)

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