おおさかナウ

2022年07月30日

有機フッ素化合物
汚染徹底調査と市民へ周知を
日本共産党 長岡ゆりこ大阪市議が要求
大阪市議会環境対策特別委

 大阪市議会環境対策特別委員会が25日開かれ、日本共産党の長岡ゆりこ議員が、発がん性など健康への被害が指摘されている有機フッ素化合物(別項)による地下水汚染問題で質問しました。

質問する長岡議員=25日、大阪市議会環境対策特別委

汚染の排出源はダイキンの工場

 長岡氏は、2020年の同委員会以来、有機フッ素化合物問題を繰り返し取り上げてきました。この中で市は昨年秋、9カ所で独自調査を実施。排出源のダイキン工業淀川製作所(摂津市)から0・7㌔㍍の大阪市東淀川区南江口など同区内の3カ所で暫定目標値を上回る汚染が確認されたほか、淀川区と西区の各1カ所でも地下水汚染が判明しました。

事態を非常に小さく見積もって

 今回の委員会で長岡氏は、市民への周知について確認。市環境局は、今回の委員会で市環境局は、東淀川区の該当地域へチラシを回覧したほか、同区内で貸農園を利用している人にも同様のチラシを配布したと説明しました。
 長岡氏は、東淀川区内の3カ所のうち、チラシの回覧は2カ所だけだったとし、「非常に事態を小さく見積もっている」と指摘。米国では環境保護庁が有機フッ素化合物の規制をさらに厳しくしていることも示し、チラシの内容も「健康被害が生じる恐れがあり、国際的に研究が進められている」と書くべきだと提案しました。

山下参院議員の質問を生かして

貸農園で土壌や農産物を調査する長岡議員(左)=17日、大阪市東淀川区内

 また、東淀川区内の貸農園の土壌や野菜の汚染状況を独自に調査したことも紹介。参院環境委員会(4月28日)での日本共産党の山下芳生議員の質問に、農水省が「農産物の汚染実態調査は重要」と認め、自治体が調査を希望する場合は「支援も可能」と答弁したことから、市としても調査を希望するよう求めました。
 最後に長岡氏は、有機フッ素化合物の危険性や汚染範囲などを低く見積もらないことが重要だと力説。調査地点を増やすとともに、土壌・農作物・大気・血液の調査・検査を行い、大阪市民全員に有機フッ素化合物による公害について、きちんと知らせるよう求めました。

 

重大な健康被害 国際条約で規制 有機フッ素化合物

 有機フッ素化合物は焦げ付かないフライパンや、はっ水加工された衣服、食品包装紙など日常の生活用品に幅広く使われている物質。問題になっているのは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS、ピーフォス)と、ペルフオロオクタン酸(PFOA、ピーフォア)で、微量でも、がんや低体重出産などの重大な健康被害を引き起こすとされています。
 09年に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」の規制対象にPFOSが追加され、同条約の締約国である日本国内では原則として製造・輸入が禁止に。19年にはPFOAが同条約の対象物質となり、製造・使用が禁止されました。
 厚労省は20年、水道水の「目標値」をPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)と設定、環境省は5月に同じ値を河川・地下水の「暫定目標値」としました。
 環境省は20年に全国の実態調査(19年度)の結果を公表しました。最も深刻だったのは摂津市のダイキン淀川製作所周辺で、1リットル当たり1855・6ナノグラムと、暫定目標値の約37倍。20年度の府調査では地下水から暫定目標値の440倍、最高2万2ナノグラムが検出されました。
 20年度の環境省調査では、神崎川をはさんでダイキン工業に隣接する大阪市東淀川区の地下水から、暫定目標値の110倍、1リットル当たり5500ナノグラムという高濃度を検出しています。

(大阪民主新報、2022年7月31日より)

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