おおさかナウ

2022年05月21日

公益社団法人がギャンブル依存症巡りシンポ
一番の対策はカジノを造らないこと
日本共産党の内海府議が力説

 維新の府市政が大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま)にカジノを核とする統合型リゾート(IR)の誘致を狙う中、ギャンブル依存症の当事者らでつくる公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(田中紀子代表)の大阪支部と家族の会が15日、大阪市東淀川区内で大阪の依存症対策の現状を考えるシンポジウムを開きました。5つの会派の大阪府議が参加し、意見表明。日本共産党から内海公仁議員が出席しました。

現状のままでは多くの犠牲者が

 基調講演した田中氏は家族がギャンブル依存症で、自らも依存症から回復した経験の持ち主。カジノ推進派は「カジノができれば依存症対策をしっかりやる」と言ってきたが、国も大阪府も本気で取り組んでおらず、「このままでは多くの犠牲者が出る」と述べました。
 大阪府の依存症対策予算は21年度3719万円、22年度5239万円で、横浜市の6252万円(21年度)よりも少ないと指摘。依存症問題に取り組む民間団体への補助金も1団体当たり年間30万円に過ぎず、毎年違う事業を実施することが要件となっているとし、「依存症対策は打ち上げ花火ではない。毎年継続できる地道な支援が必要」と訴えました。

大阪の成長にはならないカジノ

ギャンブル依存症問題のシンポジウムで発言する内海氏(右から2人目)と司会進行の田中氏(左端)=15日、大阪市東淀川区内

 内海氏は、民間団体の活動に敬意を表するとともに、大阪市議会の参考人質疑(3月16日)で、カジノ事業者の日本MGMリゾーツのエドワード・バウワーズ社長が述べた内容を紹介。バウワーズ氏は、カジノの客の2%がギャンブル依存症になると認めています。
 誘致計画では年間1070万人をカジノに集客するとしており、年間約20万人の依存症患者をつくることになると指摘。「カジノを持ってくることが『大阪の成長』だというのは、まったく間違っている。一番の依存症対策は、カジノを持ってこないことだ」と、きっぱり語りました。
 府の依存症対策予算があまりに少ないことは、維新や自民などの議員も認めざるを得ませんでした。
 内海氏は、府の依存症対策予算が今年度増えたのは、調査・分析の事業をやる部分が増えたためで、対策の内容も「普及啓発の強化」はじめ国が決めた4項目だけで、府独自のものはないと指摘。ギャンブル依存症などに対応できる専門の医療機関で、府内で登録されているのは6カ所しかないとし、「予算をしっかりつけなければ、対策は進まない」と語りました。
 さらに、ギャンブルの事業者が利益を上げるためには、客に賭け金を積んでもらう必要があり、客が賭け金を積めば積むほど、依存症になる危険が高まると強調。「依存症の当事者、家族や周りの人たちが気軽に集まって声が出せて、行政に届く仕組みを強めなければ、救われない」と述べました。

(大阪民主新報、2022年5月22日より)

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