おおさかナウ

2022年04月16日

市民生活よりカジノ優先の維新市政の転換を
日本共産党大阪市議団政調会長 井上浩

 

 日本共産党大阪府委員会が5日、大阪市内で行った大阪市政対策会議で、井上浩大阪市議が行った3月市議会報告(要旨)を紹介します。

コロナ対策せず財政調整基金積み立て

 予算市会が3月29日に閉会しました。
 大阪市のいわゆる貯金である財政調整基金(財調)は今議会の補正予算案で、1059億800万円の取り崩しを中止した上に442億円増やし、2021年度末で2128億円に達しています。他の政令市の財調は数十億円程度です。
 増加した財調の内訳は、税収の上振れが639億円、事業費の減額が587億円、コロナ地方創生交付金が145億円。合計1371億円のうち311億円が、財調に積み立てられます。
 事業費の減額587億円のうちコロナ対策関係が374億円というのは、大阪市がコロナ対策に真剣に取り組んでいない証左です。
 コロナ地方創生交付金についても減額補正と同じです。本来の趣旨に沿って国からの交付金を、コロナの影響を受けて困っている人たちのために活用するという、まともな対策を行わず財調に貯金するのは火事場泥棒のそしりを免れません。
 本来は財調からだけでなく、一般会計からも財政を出動し、国保料・介護保険料の軽減や、保健所体制の強化とともに、保健師や公衆衛生医師の大幅増員、中小零細企業への継続的な支援メニューの構築など、やるべき支援は山ほどあります。
 国保料は、都道府県単位化前の2017年度の大阪市の任意繰り入れは135億円でしたが、来年度は59億円へ大幅に引き下げているため、今年度の国保料は4%値上げになります。維新市政の通算11年間で15%もの値上げを強行したことになります。
 介護保険料は現在第8期(21年度から23年度)で月額基準額が8094円。全国の市の中で最も高額です。これを第6期の月額基準額6758円の水準に引き下げるのは、97億円でできるのです。
 コロナの下で、お酒を提供する飲食店への協力金は、想定件数9千件に対し2700件の申請、賃料60万円以上の店舗への協力金は1万2200件に対し3300件の申請にとどまりました。やる気になれば、申請の簡素化、支給の迅速化を図れたはずですが、飲食店への協力金にかかる予算だけでも211億円の減額補正を行うことになったのです。

許されないカジノ誘致への税金の投入

 カジノ誘致が成長戦略などになりえず、賭博など道義的にも断じて認められないことは、市議会で我が党のみが追及してきました。
 夢洲開発の関連公共事業は、すべて上振れの連続で、破綻への道を一路突き進んでいます。
 夢洲は総面積約390ヘクタールの広大な土地であり、大阪市はそのうち143ヘクタールを工業地域から商業地域に変更してしまいました。夢洲の次にまとまった面積を有する商業地は、うめきた2期地区の約17ヘクタールですが、夢洲でのカジノ誘致を阻止すれば、大阪のどこにも誘致できる条件のある場所はありません。維新が前のめりで進める夢洲開発自体が「負の遺産」になろうとしています。
 夢洲の液状化の危険性の認識について、市議会で理事者に問いただすと決まって、「粘土質のしゅんせつ土砂で埋め立てており、液状化にも強い地盤になっている」と答弁してきました。しかし本当に強い地盤で安全だと言うのなら、790億円もの液状化対策、土壌汚染対策を講じる必要はないのであり、歴代市長の言明に照らしても公費を投入してはいけないのです。
 大阪市の財政に明るい兆しが見えても、市民のために使われず、カジノ誘致のために際限なく貴重な税金が費やされては元も子もありません。
 7月の参院選、来年4月の統一地方選で市民生活よりカジノを優先する維新政治に決着をつけるべく、党大阪市議団も全力を尽くします。

(大阪民主新報、2022年4月17日号より)

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