おおさかナウ

2021年11月13日

「参院選で国民投票を」(維新・松井代表)
「維新含め改憲議論を」(自民・茂木幹事長)
衆院選後に改憲発言次々

 10月31日の衆院選後、自民党や維新から改憲発言が相次いでいます。衆院(定数465)のうち、自民党は261議席、公明党は32議席となり、日本維新の会の41議席を合わせると334議席に。改憲勢力が憲法改定の国会発議に必要な3分の2(310議席)を上回る議席を占める中、改憲を許さない新たなたたかいが始まっています。

岸田首相〝改憲へ積極的に〟
吉村知事〝本気で改憲やる〟

 衆院選から一夜明けた1日、選挙結果を受けて記者会見した岸田文雄首相(自民党総裁)は、「党是である憲法改正に向けて、積極的に取り組んでいく」と述べ、総裁任期中の改憲に意欲を示しました。
 大阪市の松井一郎市長(日本維新の会代表)は2日、大阪市役所内で行った定例記者会見で、来夏の参院選までに憲法改定案をまとめ、参院選と同時に改憲の国民投票を実施すべきと公言しています。
 小選挙区で野党共闘候補に敗れた自民党の甘利明氏の後任で幹事長に就任した茂木敏充氏は4日、「維新を含めさまざまな政党と(改憲の)議論を進めたい」と発言しています。
 さらに吉村洋文知事(日本維新の会副代表)は7日、フジテレビ系の報道番組に出演し、「維新の会は改憲勢力だ」と明言。自民党について「本気で憲法改正をやろうと思っていない。自民党の『やるやる詐欺』に付き合うつもりはない」と言い放ちました。
 日本維新の会と国民民主党は9日、衆参両院の憲法審査会の定例日開催を与党に求めることを確認しました。
 維新の会は国政政党の結党に動き出した2012年当時から憲法改定を打ち出してきました。同年の政策集「維新八策」では9条の改正を問う「国民投票」などを明記。以来、国会内外で改憲をあおる言動を繰り返してきました(別項)。衆院選で議席を伸長させた中、自公政治を助ける「改憲突撃隊」の正体があらわになっています。

改憲阻止へ不断の努力を
憲法会議が談話

 大阪憲法会議・共同センターは総選挙の結果を受け、「憲法改悪阻止のために『不断の努力』をし続けましょう」と呼び掛ける、丹羽徹幹事長名の談話を発表しました。
 維新を含む改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2を維持したことについて、「参議院では僅差で自公維で3分の2を下回るが、改憲に前向きな無所属議員の動向いかんによっては、改憲発議への動きは緊迫したものとなる」と指摘。その上で「参議院の改憲勢力の議席を減らし、立憲野党が大きく議席をのばすことが必要」とし、「自公維の目指す社会がいかなるものかの本質を丁寧に説明し、それに対峙する今の憲法を生かす社会の展望を語れば実現できる」と述べています。

改憲を巡る維新の発言(肩書は当時)
憲法改正は絶対必要

〇橋下徹大阪市長「憲法改正は絶対必要。もう安倍総理しかできない」「できることは何でもしたい」「(憲法改正国民投票の)まあその予行練習ですよ。大阪都構想は」(2015年1月、関西テレビの番組)
〇松井一郎知事「9条2項を残して自衛隊を位置付けるなら意味がある」(2017年9月、維新の憲法改正本部初会合後の記者会見)
〇馬場伸幸衆院議員「(安倍晋三首相は所信表明で改憲に)ごく小さく言及しただけ。総理の本気度に疑問」(2018年10月、衆院本会議)

ボカンとやりたい

〇吉村洋文知事「憲法改正を一生懸命やらないのが自民党。情けない。ダイナマイトみたいにボカンと国会でやりたい」(2019年4月、衆院大阪12区補選)

自民党と手を携えて

〇足立康史衆院議員「われわれが提示した教育無償化について自民党が正面から向き合って下さるのであれば、われわれ日本維新の会が、憲法9条に正面から向き合い、自民党と手を携えて9条改正を含めて前に進めるのは明らか」(2019年5月、改憲派の集会)

「個人の尊厳」脅かす改憲

大阪弁護士会憲法問題特別委員会副委員長 中平 史さん

 現行の日本国憲法と自民党改憲草案の一番の違いは、「個人の尊厳」を根本的価値ととらえるかどうかにあります。
 「公共」は個人のためにあるとしている現行憲法に対し、公のためだとして個人に犠牲を強いる自民党草案の下では、国防のためと称して表現の自由が制限され、軍事費に金がどんどん費やされ、公衆衛生や社会福祉は後回しにされてしまうでしょう。
 「公共」のためにお互いの人権を少しずつ譲り合うことと「国家の利益(公益)」を持ち出して人権制限を正当化することは決定的に違います。
 未来のために大切にしなければならない「価値」とは何か?が問い直されています。個人の尊厳を守り、自由と平等、戦争のない世界を目指す日本国憲法をみんなで護り、活かしたいと思います。

(大阪民主新報、2021年11月14日号より)

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