おおさかナウ

2021年07月17日

コロナワクチン 接種予約停止
対応に追われる医療現場

ワクチン供給不足の実態について聞き取る辰巳氏=8日、大阪市西淀川区内

 新型コロナウイルスワクチンの住民接種で大阪市はじめ府内自治体で、新規予約停止や2回目接種を延期する事態となっており、接種希望者から不安の声が広がっています。国によるワクチン供給が7月から大幅に減ったのが原因で、各医療機関は予約キャンセルなどの対応に追われています。
 「孫が手伝ってくれたワクチン予約がキャンセルになりました」。大阪市住吉区の80代女性はかかりつけクリニックからの電話で1回目接種は8月以降になると説明を受け、今月中旬に1回目接種を予約済の男性(66)は、「本当に予定通り接種できるのか不安です」と語ります。
 大阪市は6月末、個別接種で使用するファイザー社製ワクチンの供給量を減らすと発表。7月2日には、「2回目接種を保障する」などとして、大阪府医師会に1回目接種の新規予約を全面停止すると通知。市は「8月以降の供給量の見通しも立たない」としており、1回目接種が再開される目途は立っていません。
 日本共産党の辰巳孝太郎・府新型コロナ関連対策本部長は8日、大阪市西淀川区ののざと診療所で、ワクチン供給不足の実態について、鵜瀬敏大事務長と淀川勤労者厚生協会の山岡務常務理事から聞き取りました。
 鵜瀬さんは「7月中に65歳以上のワクチン接種を終了させる計画でしたが、現状の供給量のままでは不可能です」と語ります。7月第1週のワクチン分配が希望数量の6~7割に減り、12日(第2週)以降の発送量を通知した6日付ファクスは、発注量に対し約10分の1に過ぎなかったと言います。
 「午後8時半頃にファクスを受信してから現場は対応に追われました」。鵜瀬さんは「1日も早く接種したいと願う希望者を落胆させるわけにはいかない。関係機関にワクチン安定供給を求めていきたい」と語りました。
 診療所では、1回目接種の予約者全員に電話でキャンセルを伝え、2回目の接種日を当初の3週間後から4~5週間後に先送りすると対象者への連絡作業に追われています。
 鵜瀬、山岡両氏は「国は無計画に接種を急がせたのではないか」「早急に供給不足を解消してほしい」と語りました。
 辰巳氏は、「一番の被害者は接種希望者と、最前線でコロナ対応に当たる医療機関の皆さんです。東京五輪開催ありきでワクチン接種を急げと現場をせかし、大事な局面ではしごを外す格好となった国の責任は重い。混乱解消へ説明責任とワクチンの安定供給を求めていきたい」と語りました。

(大阪民主新報、2021年7月18日号より)

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