おおさかナウ

2021年04月05日

府議会定数削減案に
共産党府議団が声明

 日本共産党府議団(石川たえ団長)は3月25日、維新の会が「身を切る改革」として進めようとしている府議会の定数削減に対して、声明「開かれた民主的な大阪府議会への改革を」を発表しました。
 声明では、維新の定数削減案が1票の格差や死票がさらに増えることを指摘し、定数削減を「人口当たりの議員数を全国最小値とする」「身を切る改革を断行」するためだとしている維新に反論。議論を公開の場で行わず、年内に結論を出すという進め方の問題も指摘し、府民に開かれた民主的な府議会への改革を訴えています。

開かれた民主的な大阪府議会への改革を
―維新の定数削減案は内容も進め方も問題―

2021年3月25日 日本共産党大阪府議団

 維新の会が、現在88の府議会議員定数を現行の区割りのまま80に減らす案を年内に可決させ、次回(2023年)府議選から適用させると報道されています。
 しかし維新の削減案には、その内容と進め方の両面で、府民の利益と民主主義に背く問題があります。

1票の格差縮小、死票減こそ

 維新の8減案では、1票の格差が拡大し、小選挙区が増える=死票が増えることになります。
 維新案に昨年10月の推計人口を当てはめて試算すると、1票の格差は現状の最大2・14倍から2・15倍へと拡大します。衆院選では、1票の格差が最大2を超えた09年以降3回の選挙に対し、最高裁が違憲判決を下しています。府議会でも、せめて最大2未満とすることが、憲法で定められた「法の下の平等」に則る方向です。
 また、53選挙区のうち1人区は現在31選挙区ですが、維新案に基づく試算では36選挙区、全選挙区の7割近くまで増えます。全国の都道府県議会では1人区は4割弱で、大阪府議会は突出した小選挙区中心型の選挙制度となります。2019年府議選の得票数を当てはめた場合、死票が12万4千票余り増えることになります。
 多様な民意を反映させる議会とするためには、法律上可能な範囲で合区を進めるなど、1人区を減らし死票を減らす改革こそ必要です。

議員の数は「少ないほどいい」か

 維新は、定数を削減する理由を「人口当たりの議員数を全国最小値とする」「身を切る改革を断行」するためとしています。
 しかし、地方議会の議員には、多様な住民要求を把握し行政に反映させるとともに、住民目線で行政をチェックする役割があります。議員定数は少ないほどいいというものではなく、「住民の数を考慮し、…討論の過程を経て多元的な意思を統合し、町村の意思を決定するのにふさわしい規模であることが必要」(「議員必携 第11次改訂新版」)です。
 今「全国最小」にしなければならない根拠は薄いと言わざるを得ません。現在の88に定数削減した際に維新が「議員1人当たりの人口は10万人が適当」と主張したこととの整合性も問われます。
 また、「身を切る改革」を言うなら、議会の機能低下につながる定数削減よりも、海外視察への公費支出廃止や議員報酬削減などをまず検討すべきです。

慎重かつ民主的な議論で

 議論を公開の場で行わず、しかも年内に結論を出すという〝日程ありき〟での進め方も問題です。
 公開の特別委員会で議論するべき、という意見が議会運営委員会で出されたにもかかわらず、維新はそれを覆し、議論を非公開で行い、日本共産党など少数会派はオブザーバー参加に止めることとしました。そのうえ、議論の行方にかかわらず年内で打ち切り、自らの案を年内に押し通す姿勢を崩していません。
 議員定数や区割りをどうするかは議会制民主主義の根幹に関わる問題です。府議会では、2011年から14年にかけて公開の特別委員会を11回開き、各党が具体案を出し合い議論し、1票の格差を最大1・92倍に縮小する改正を行いました。
 このように、開かれた場で慎重かつ民主的な議論を進めることが必要です。

府民本位の真の議会改革を

 雇用や経済の改善、福祉や教育の充実、とりわけコロナ禍から府民を守る取り組みをはじめ、いま大阪府議会が果たすべき役割は山積しています。「小さな議会」を目指しいっそうの民意切り捨てを進めれば、その役割はますます果たせなくなります。
 日本共産党府議団は、府民に役立つ府議会、開かれた民主的な府議会への改革を進めるために全力を尽くすものです。

大阪府議会の定数を巡る経過

2007年4月 府議選(定数112)
2009年10月 3減案を可決(東大阪市、八尾市、平野区)
2010年10月 維新の21減案を否決
2011年3月 維新の2減案を否決
2011年4月 府議選(定数109)維新57議席で単独過半数に
2011年6月 維新の21減案を維新単独で可決
2011年12月~2014年3月 議員定数等に関する特別委員会11回開催(委員20人)
2014年3月 9選挙区任意合区案を可決
2014年6月 維新の区割り変更案を否決
2015年4月 府議選(定数88)
2018年3月 1増1減案(堺市内)を可決
2019年4月 府議選(定数88)

 

(大阪民主新報、2021年4月4日号より)

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