おおさかナウ

2021年01月10日

淀川左岸線2期
総事業費が1.6倍に
土壌汚染対策など理由に

 建設中の高速道路「淀川左岸線」の2期区間(此花区・海老江ジャンクション~北区・豊崎ジャンクション、約4・4㌔㍍)の総事業費が、当初から1・6倍に増える見込みであることが問題になっている中、2020年12月15日の大阪市議会環境対策特別委員会で、日本共産党の長岡ゆりこ議員が、事業費の大きな増大要因となっている土壌汚染問題について質問しました。

大阪市は説明責任果たせ
市議会環境対策特別委 長岡議員が力説

 長岡氏は、土壌汚染は早い段階から分かっていて、調査・検討が進められ、沿線住民からも懸念の声が出ていたが、工事直前の説明会では土壌汚染に言及がなく、住民が不信感を抱いていると指摘。2017年度までの調査で、事業区間の全体で土壌汚染が判明していたのに、2020年になって事業費の増大を明らかにした理由をただしました。
 市側は、汚染土の搬出量や処分費を算定するなど、事業費の精査を行うことが必要だったと説明。事業費の増大は昨年6月に国交省近畿地方整備局、7月に松井一郎市長に報告した上で、再び精査して11月に松井市長に報告したと答えました。
 長岡氏は、大阪市と阪神高速道路株式会社が作成した2期区間の事業説明パンフレットに言及。2020年10月の第2版でも土壌汚染問題や事業費の増大について一切説明がないのは問題だとし、「住民への説明が不十分であり、不安を与えている。市民からの事実確認、資料請求、説明会の開催などの求めには真摯(しんし)に向き合い、対処すべきだ」と求めました。

命優先で十分な安全対策を

 さらに汚染土壌の掘削や搬出による住民や工事現場の作業員の健康被害が心配されており、十分な安全対策を講じるよう要求。「11月1日の住民投票前には、大阪市のさまざまな問題点が表に出ていなかったことに、『市民への情報隠ぺいではないか』と厳しい意見も出ている。しっかり説明責任を果たし、命最優先の姿勢で、先行き不透明な万博やアクセス開発はいったん休止し、大阪市の財政をコロナ禍から市民の命や生活、仕事を守るために使うよう、舵を切り直すべきだ」と力説しました。

淀川左岸線2期区間


淀川左岸線2期区間の工事現場を視察する日本共産党議員ら=2020年11月30日、大阪市福島区内

 淀川左岸線2期区間は、大阪市の街路事業と、阪神高速道路株式会社の合併施行で2018年に着工しました。当初の総事業費は1162億円で、淀川左岸の堤防と一体にコンクリート構造物を並べたトンネル式の高速道路を造るという、世界的にも前例のない大型開発。採算性や安全性について、計画段階から問題点が指摘されてきました。
 大阪市は、25年の大阪・関西万博の会場となる大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま)と、新大阪などを結ぶシャトルバスを運行することを目指し、供用開始時期を26年度末から24年度末へと前倒しして、事業を推進しています。
 昨年11月にマスコミ報道で、土壌汚染対策に伴う事業費の増大や地盤改良などの工法変更で、事業費が約700億円増え、1・6倍に膨れ上がることが明らかに。松井市長は、「コスト縮減に努めながら整備を進める」としています。
 同年11月30日に、日本共産党の清水ただし衆院議員、辰巳孝太郎前参院議員、山中智子、長岡ゆりこ両大阪市議が地元市民らとともに現地を視察し、大阪市や近畿地方整備局、阪神高速道路株式会社の担当者から聞き取りを行いました。

 

長岡ゆりこ市議

(大阪民主新報、2021年1月10日号より)

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