おおさかナウ

2020年11月21日

否決の民意守りコロナ対策を
松井大阪市長 住民投票の民意に背く条例案提案を表明
政令市の力で市民を守れ よくする会・市対連が緊急宣伝

 大阪市廃止・分割の賛否を問う住民投票(1日投開票)で再び反対多数となり、大阪市存続が決まったにもかかわらず、松井一郎市長が大阪市の権限を府が奪う「広域一元化条例」案と24行政区を8つの「総合区」に再編する条例案を来年2月の予算議会に提案すると表明しています。大阪市をよくする会(よくする会)と大阪市対策連絡会議(市対連)は17日早朝、大阪市北区の大阪市役所前で緊急宣伝を実施。新型コロナの感染拡大が大阪で急増している中、住民投票の民意を守り、制度いじりではなく、コロナ対策と市民の暮らし・営業を守るために、今こそ政令指定都市・大阪市の力を発揮すべきと訴えました。

財政局職員にエールも

大阪が全国で最多の感染に

「住民投票の民意を守り、コロナ対策に今こそ大阪市の力を」と訴えたよくする会と市対連の緊急宣伝=17日、大阪市北区内

「住民投票の民意を守り、コロナ対策に今こそ大阪市の力を」と訴えたよくする会と市対連の緊急宣伝=17日、大阪市北区内

 新型コロナの新規感染者数は大阪で15日、全国最多の266人の感染が明らかになり、6日連続で200人を超えました。市内の感染者数や死者数は府内の半数を超えているのに、PCR検査数は府内の3割にとどまっています。
 よくする会は13日、明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と共に住民投票勝利報告集会を開催(4面で詳報)。住民投票で示された市民の良識と共同、「大阪市廃止否決」を勝ち取ったたたかいに確信を持つと共に、民意を踏みにじる松井市長や維新の策動を必ず打ち破ろうと決意を固め合いました。
 17日の緊急宣伝には120人以上が参加。「守りなさい、住民投票の民意!」「全力尽くせ、コロナ対策」などのプラカードを掲げながら、通勤途中の市民や大阪市役所職員らにビラを手渡し、各団体代表がリレートークで訴えました。
 住民投票最終盤に、市財政局が大阪市分割によるコスト増(218億円)の試算を公表。これに対し、松井市長が「捏造」などと言いがかりを付け、投票日後の市議会決算委員会で維新議員が財政局に異常な攻撃を続けています。緊急宣伝では「財政局職員頑張れ」「パワハラに負けるな」と訴えました。

松井市長こそ市民に謝罪を

大阪市役所に登庁する市職員に向けて「財政局がんばれ」と宣伝する人たち=17日、大阪市北区内

大阪市役所に登庁する市職員に向けて「財政局がんばれ」と宣伝する人たち=17日、大阪市北区内

 リレートークで、よくする会の福井朗事務局長は、「広域一元化条例」案について「二度の住民投票で示された大阪市存続の民意を踏みにじり、政令指定都市の権限を府に移し、カジノや大型開発に突き進むもの。地方分権の流れに反する」と力を込めました。
 明るい会の荒田功事務局長は、大阪市分割のコスト増は松井市長が隠していたもので、財政局による公表は市職員の良識を示したとし、「松井市長こそ市民に謝罪すべき。財政局頑張れ、市職員頑張れ」とエールを送りました。
 大阪母親大会連絡会の三島志賀子事務局長は、「未来を担う子どもたちにまともな大阪市を残したい。松井市長はコロナ対策に集中すべき」と訴え。大阪労連大阪市地区協議会の箕作勝則事務局長は、「松井市長自身が『究極の民主主義』と言って行った住民投票で大阪市民が選んだ結果を、市長は潔く受け止めるべき」と語りました。
 南大阪医療生協専務理事で看護師の権野幸子さんは、「コロナの感染が拡大する中、大阪市の保健所機能を充実し、検査体制を各区につくり、事業所への支援を」と訴え。大阪府保険医協会事務局の上中のりこさんは、コロナ対応で医療機関が協力しようと思っても困難がある現状を示し、市の役割発揮を求めました。
 新婦人府本部の秋元真由美事務局長は、「住民投票後、コロナ感染者数も重傷者数も放置できない状況なのに、『広域一元化条例』などを議会の数の力で強行することは、卑劣なやり方だ」と厳しく語りました。

立場を超えて力を合わせて

 日本共産党の宮本たけし前衆院議員(衆院近畿比例・大阪5区重複候補)、井上浩大阪市議、瀬戸一正前大阪市議が訴え。宮本氏は、「『制度いじり』に終始するのではなく、今こそコロナ対策に大阪市の力を」と力説。井上氏は財政局職員を激励するとともに、「政令指定都市・大阪市を残し、政治の中身を変えるために立場を超えて力を合わせ、いい大阪をつくろう」と呼び掛けました。
 最後に、大阪市をよくする会の中山直和事務局次長は、維新がコロナ対策をおろそかにして住民投票を強行したことが、大阪の感染状況の悪化を招いていると指摘。住民投票の民意を踏みにじる暴挙を許さないたたかいを広げようと語りました。

(大阪民主新報、2020年11月22日号より)

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