おおさかナウ

2020年09月28日

保育料無償化の実施を 永藤維新市政が無期延期
政令市の権限・財源を市民のために
日本共産党・森田晃一堺市議団幹事長

 堺市議会2019年度決算審査特別委員会が15日開かれ、日本共産党の森田晃一市議団幹事長が質問に立ち、永藤維新市政の問題点を追及しました。森田市議団幹事長の寄稿を紹介します。

議会にもかけずに延期決定

 堺市では、来年度から第2子の0~2歳児の保育料無償化(年間約8億円)をスタートする予定でした。ところが、9月15日の決算審査特別委員会で、永藤市長は、自らも関与して保育料無償化の延期を決定したことを明らかにしました。議会での議論も経ずに専行して決定するという非民主主義的な運営です。
 市は財源不足を理由にしていますが、国の幼児教育・保育の無償化が開始される前に、市独自で実施していた保育料無償化の額を比較した場合、堺市の負担軽減額は約13億円で十分賄える額です。

子育て応援をPRしていたのに

森田晃一堺市議質問minpou この事業は、3年前から市民にアナウンスされてきた事業だけに、多くの市民が人生設計の中に位置付けています。「もうすぐ双子を出産するのに、一体どうしよう」「家計プランが崩れてしまった」「子育て応援をPRしていた堺市が、なぜこんな決定をするのか」など困惑や怒りの声が上がっています。
 児童虐待の実態を見れば0歳児の虐待件数が群を抜いて多く、同事業の実施は子どもの命を守るためにも重要です。それでも永藤市長は、別事業で虐待対策は行っているからとして、保育料無償化の延期の撤回や見直しについては言及しませんでした。

不要不急の開発は計画通り

 堺市は経常収支比率の上昇によって財政が硬直化し、毎年40~50億円程度の収支不足が発生するとの財政状況を示しています。日本共産党堺市議団は、財源不足を補うために基金の積み替えや不要不急の開発中止を要求してきました。
 こうした中で堺市は、鉄道軌道整備基金(33・9億円)、区民まちづくり基金(2・7億円)を廃止し、財政調整基金に積み替えを提案することを示してきました。しかし鉄道軌道整備基金は全額積み替えではなく、33・9億円のうち7億円を、新設する東西交通整備基金に積み替えるというものです。

湾岸開発連動のインフラを整備

 新設する東西交通整備基金は、大阪府、大阪市、堺市による「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部」(ベイまち本部)で推進する旧堺港・堺浜のベイエリア開発に連動するインフラ整備に使うものであり、不要不急の基金です。
 市は、財政の厳しさを強調する一方、従来の開発は計画通り進めようとしているのです。

カジノも府・大阪市に追随

 新型コロナウイルスの影響を受け、カジノ誘致は陰りを見せていますが、永藤市政は、「ベイまち本部」で、夢洲を起点とした海上交通を依然として提案しています。

カジノ見据えた海上交通を提案

 そのことについて、私が「仮にカジノが誘致された場合、堺市は、海上交通で堺市民を運ぶことによってギャンブル依存症を増加させる自覚はあるのか」と、莫大な社会的コストが発生することにも触れながら、当局をただしたところ答弁不能に陥りました。挙句の果てに「ギャンブル依存症について議論していない」と本音を暴露しました。
 永藤市長は、かつての堺市議会で、カジノによるギャンブル依存症に関して「それ(ギャンブル依存症)を補うほどのプラス効果が大きくあるのであれば進めるべきだと考えている」と強弁しており、今回も大阪府・市に無批判に追随する姿が改めて露になりました。

コロナ禍で窮地の介護施設

 堺市内の社会的基盤を担う施設である医療機関をはじめとする社会福祉施設は、コロナ第1波で苦境に立たされています。介護施設は4施設が廃止、3施設が休止に陥っています。

福祉施設の運営を支える支援を

 これまで堺市には、コロナ対策として国から地方創生臨時交付金が計約75億円交付されてきました。日本共産党堺市議団は、同臨時交付金を活用して堺市独自で医療機関や介護・障害福祉サービス事業所などに財政支援を行うべきだと要望してきました。
 しかし、永藤市政は、運営を支えるための財政支援はほとんど実施せず、GIGAスクール構想(1人1台のパソコン整備)の段階的整備を前倒しで実施、キャッシュレス決済など、ICT(情報・通信に関する技術)関連事業にコロナ対策予算を配分してきました。
 国や大阪府の支援施策はまだまだ行き届いていません。永藤市長は「国や府の施策が及ばない、又は十分ではないところに対してきめ細かく対応する」と述べていますが、不十分です。

「都」構想にくみしないよう

 日本共産党堺市議団は、引き続き、政令市の権限と財源を市民のために生かし、堺市が都構想にくみしないように全力を尽くします。

(大阪民主新報、2020年9月27日号より)

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