政策・提言・声明

2018年06月20日

すべての子どもの成長・発達を保障する教育へ
 ――憲法と子どもの権利条約を生かして

2018年6月20日  日本共産党大阪府委員会文教委員会

 大阪での子どもの貧困や学校の「荒れ」は深刻です。「どの子にもゆきとどいた教育を」と子どものすこやかな成長を願う府民と保護者の教育要求は切実です。

 子どもと教育の実態を踏まえ、府民・保護者の教育への願いを受けとめる政治の役割は、子どもの成長・発達にむけた教育条件を整備することにあります。

 ところが維新政治は、極端な競争と強制の教育を野蛮な形で大阪の学校現場に持ち込みました。教育をゆがめる「チャレンジテスト」や、子どもの学ぶ権利を奪う公立高校統廃合の強行など、教育破壊というべき異常事態です。これらを許さない府民・市民共同が広がっています。

 すべての子どもの成長・発達を保障するためには、府民・市民世論と運動により、維新政治を転換することが必要です。同時に、憲法と教育の条理、子どもの権利条約を生かした教育改革を、府民と学校関係者の合意により進めることが大切です。

 私たちは改めて、維新政治による「教育改革」の問題点を示すとともに、これまでの府民運動と論戦を踏まえ、府民と保護者の願いに応える教育改革の基本方向を提案し、府民的討論と共同を呼びかけます。

1 維新政治による「教育改革」の問題点について

 維新政治による「教育改革」は、次のような問題点があります。

(1)ゆきすぎた競争教育で、子どもの成長を脅かす

 第一に、ゆきすぎた競争教育で子どもの成長を脅かすという問題です。

教育をゆがめる「チャレンジテスト」

 安倍政権(第1次)のもと始まった全国学力テストに加えて大阪では、維新府政による中学生「チャレンジテスト」が実施され、ゆきすぎた競争教育に拍車をかけています。深刻なのは、「チャレンジテスト」の結果を公立高校入試の内申点に反映させるという方針です。学校がつけた内申点が一回のテストで変更させられる事例が相次ぎ、子どもと保護者のあいだに不安が広がっています。

 「チャレンジテスト」は府教育委員会が実施する行政調査です。行政調査としての学力テストは、その結果を子どもの成績評価に用いることはできません(最高裁学力テスト問題判決、1976年5月)。全国学力テストを実施している文部科学省も、その実施要領で「調査結果を直接又は間接に入学者選抜に関して用いることはできない」と指摘しています。

子どもの学ぶ権利を奪う高校統廃合

 維新政治は、さまざまな施策をつうじて、高校間の生徒獲得「競争」を強制し、教育をゆがめ、高校をなくしてきました。公立高校の学区を撤廃し、“3年連続定員割れで再編整備する”府立学校条例と高校廃校計画にもとづき、府立高校6校の募集停止(うち2校は予定)を強行しました。大阪市立3高校を1校に統廃合する方針です。さらに新たな廃校計画を策定しようとしています。

 子どもの高校進学を保障する立場から、府内の公立・私立高校の募集人数は、府内進学予定者数より約3千~4千人多く確保されており、入試時期が後の公立高校で、いわゆる“定員割れ”になることは当然です。“定員割れ”を理由に高校廃校を進めることは許されません。

 維新政治は、私学助成に競争的な位置づけを持たせ、高校間の生徒獲得「競争」をあおってきました。そのため、募集人数を大幅に上回る入学者を受け入れる高校もあり、教育条件の低下が危惧されています。生徒の受け入れでは、高校間の「競争」ではなく、協力・連携が必要です。

(2)「愛国心」教育を進め、海外で戦争する人づくり

 第二に、「愛国心」教育により、海外で戦争する人づくりを進めようとする問題です。

 改悪教育基本法の具体化として文部科学省はこれまでに、教育内容の基準を示す小学校、中学校、高校の学習指導要領と幼稚園の教育要領を改定しました。「愛国心」なども含む「教育の目標」にそって教育をおこなわせ、子どもに権力への服従を強いるものです。学習内容に加えて、国として子どもたちに身につけさせる「資質・能力」を定め、その達成を中心にすえました。

 維新政治は、こうした安倍政権の“戦争する国”にむけた教育に呼応して、侵略戦争を美化する教科書を採択し、国旗・国歌強制条例を強行して「日の丸・君が代」を学校と教職員に押し付けてきました。

(3)憲法が保障する教育の自由・自主性を踏みにじる

 第三に、憲法が保障する教育の自由・自主性を踏みにじるという問題です。

 安倍政権は、憲法にそくして教育の自主性を守るためにつくられた教育委員会制度を改悪し、国や首長という政治権力による教育への権力的介入・支配への道を開きました。

 これを先取りして強行されたのが、維新政治の「教育基本条例」です。首長による教育への支配・介入は許されません。

 教育委員会は、戦前の中央集権型の教育行政を反省し、首長が教育を直接支配しないようにつくられた、首長から独立した行政機関です。これを踏まえた民主的改革が必要です。

2 子どもの成長・発達を保障するために――日本共産党の教育改革提案

 すべての子どもの成長・発達を保障するために、日本共産党は次のような教育改革の基本方向を提案します。府民・市民共同を広げ、府民と保護者の切実な教育要求実現へ力を尽くします。

(1)すべての子どもに豊かな学力とすこやかな発達を保障します

 すべての子どもに基礎的な学力を保障することは、学校教育の基本的な仕事です。自然や社会のしくみがわかる知育、市民道徳の教育、体育、情操教育など、バランスのとれた教育が大切です。学力を保障するためには、少人数学級が有効な施策です。

 ゆきすぎた競争教育は、子どもに常にストレスがかかり成長を妨げます。競争主義の教育をあらためることが重要です。

 子どもの成長を脅かし、学校教育をゆがめる全国学力テストの廃止を国に求めるとともに、「チャレンジテスト」など府・市独自の学力テストを廃止します。学力テスト結果を公立高校入試の内申点に反映させることや、学校別結果公表、小中学校選択制の導入をやめます。子どもの学力状況調査は、抽出で十分可能です。

 新学習指導要領は、極限を超える「つめこみ」教育や、財界の求める「エリート育成」にむけた小学校英語の早期化・教科化などの問題があります。新学習指導要領を抜本的に見直すとともに、学校が子どもの状況や地域の実情に応じた教育課程を自主的につくることを尊重します。

 「いじめ」「体罰」など子どものかけがえのない命を脅かし、発達を損なう問題の解決が求められます。「いじめ」のない学校と社会、学校教育やスポーツから「体罰」や暴力をなくす取り組みが大切です。人権無視の厳しすぎる校則は、生徒や保護者の意見を聞き、改めることが求められます。「同和教育」は完全に終結します。

(2)すべての希望する子どもに高校教育の機会を

 子どもが主権者として必要な教養などを身につける高校教育の役割は今日、いっそう重要になっており、すべての希望する子どもに高校教育の機会を保障することが大切です。

 公立高校の統廃合計画を中止し、“3年連続定員割れで再編整備”とする府立学校条例の抜本的な見直しを行います。いまやるべきは、高校に35人学級を広げ、教育条件を改善することです。すべての希望する子どもの学ぶ権利を保障するため、公立高校受け入れ枠の拡大が求められます。

 公立高校「多様化」、大阪市「公設民営」学校を抜本的に見直し、高校入試制度改善にむけた教育関係者の議論を進めます。私学経常費助成における競争的な配分制度を改め、国基準を上回る交付を行うなど、私学助成の拡充をはかります。

(3)少人数学級を広げ、ゆきとどいた教育を

 すべての子どもにゆきとどいた教育を保障するために、教育予算を増やし、教育条件を整備することが必要です。しかし、維新府政のもと35人学級は、全国的にみてもたちおくれ、小学校1・2年生の実施にとどまっています。少人数学級・35人学級を小中学校全学年に広げることは急務です。安全・安心の学校へ、学校耐震化を促進します。

 市民・学校関係者の運動と日本共産党議員団の論戦により、府内の市町村で中学校給食の実施校は93.9%に広がりました。学校給食は教育の一環です。安全で豊かな学校給食へ、自校調理など実施方式の改善とともに、全校実施・全員給食に向けた取り組みを促進します。

 “子ども食堂”への支援を行います。

 維新政治による、地域コミュニティーを壊す小中学校統廃合計画を中止し、小中一貫校を抜本的に見直します。大阪市立幼稚園の廃止・民営化計画に反対し、公立幼稚園を存続します。

 障害のある子どもが教育から排除されず、豊かな教育を保障することが大切です。大阪では障害のある子どもが増え続けており、支援学校では特別教室の普通教室への転用、間仕切り教室、つめこみ学級が常態化しています。設置基準を設け、「過大・過密」の劣悪な教育条件を整備することは急務です。支援学校の増設と支援学級の拡充を進めます。

 学問の自由と大学の自治を蹂躙(じゅうりん)し、強権的な大学リストラを狙う大阪府大・市大「統合」計画を中止します。大学改革は大学関係者の議論と合意で進めます。

 「始発電車で出勤し、最終で帰宅している」などの勤務実態にみられるように、教職員の長時間・過密労働は深刻です。教職員の「働き方改革」にむけて、学校関係者の合意による業務削減や、教職員の抜本的増員、労働法制の是正が求められます。教育をゆがめる、教職員の「評価・育成システム」は中止します。

 内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、在日外国人の子どもの教育を保障します。

(4)世界の流れ、授業料無償化を高校と大学に広げる

 学費・授業料の無償化は世界の流れです。国際人権規約が定めた高校・大学の段階的無償化条項を日本政府は、国民世論と運動におされて留保撤回しました。

 経済的な理由で若者の勉学への道を閉ざさないために、憲法26条の具体化として、公立高校授業料の無償化復活を国に求めます。

 私立高校の授業料補助制度は長年にわたる学校関係者の運動により、拡充されてきました。子どもの教育を受ける権利を保障する重要な施策です。授業料無償化にむけた取り組みをさらに促進します。

 学費無償化にむけて、府大と市大の授業料を段階的に引き下げます。大学授業料免除制度と給付型奨学金の拡充をはかります。

 小中学校の就学援助を拡充し、学校給食費の無償化に向けた取り組みを行います。

 すべての乳幼児が豊かな保育をうけられる公的保育を拡充し、保育園、幼稚園とも無償化を進めます。

(5)憲法が保障する教育の自由、自主性を尊重して

 教育は強制ではなく自由な空間でこそ花開きます。教育行政の役割は、学校現場の自由・自主性を尊重し、教育諸条件を整備・確立することにあります。維新政治が強行した「教育基本条例」を廃止し、教育振興基本計画は少人数学級など教育条件整備の計画に改めます。

 教科書採択は学校の意見を尊重することが求められます。侵略戦争を美化する教科書採択は許されません。

 大学に対する軍事機関からの資金提供は、憲法の平和原則に反し「学問の自由」を脅かします。軍学共同に反対し、科学・技術の利用は非軍事で行います。

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