おおさかナウ

2017年07月09日

住民が〝産廃規制〟
高槻市議会 手続き規制条例を全会一致で可決
きれいな空気・自然守りたい

 

産廃焼却場建設反対のパレードは3回行われ、延べ2千人が参加しました。写真は6月18日のもの。

産廃焼却場建設反対のパレードは3回行われ、延べ2千人が参加しました。写真は6月18日のもの。

 高槻市梶原中村町に産業廃棄物焼却場を建設する計画をめぐり、高槻市議会は6月22日、産業廃棄物処理施設の設置手続きについて、「廃棄物処理施設の設置に係る手続きの特例に関する条例」を全会一致で可決しました。高槻市内に産廃施設を設置する場合、計画予定地の半径500㍍以内の自治会5分の4の同意が必要とするもので、産廃施設の立地に高いハードルを課す「手続き規制条例」です。“無秩序な開発計画から住環境を守れ”と広がった住民運動が条例制定を後押ししました。

自然豊かな地に24時間運転

地図カラー20170704minpou 焼却場の建設計画が明らかになったのは今年1月。年間300日、24時間連続運転し、特別管理廃棄物、医療系の廃棄物も取り扱います。処理能力は日量最大94・8㌧というものでした。

 計画地は国道沿いの準工業地域ですが、1㌔㍍圏内には保育所、幼稚園、小学校など、子ども関連施設が10カ所もある上、農地や住宅地が広がる地域。宮内庁楽部の篳篥(ひちりき・笛の一種)の蘆舌(ろぜつ)として使われる鵜殿のヨシ原がある自然豊かな地域です。

 保育所や学校の保護者、自治会関係者らが産廃焼却炉対策協議会を結成。10万人の署名提出や、3回の反対パレードに2000人が参加するなど、大きな反対運動が広がりました。業者は5月末、計画を断念しました。しかし、住民の運動は条例制定を求めて、さらに大きく広がっていきました。

5分の4以上の同意が必要

反対協が市内に配布したチラシ

反対協が市内に配布したチラシ

 可決された条例の第1条は、廃棄物処理施設が生活環境に及ぼす影響の重要性に触れ、「住民の生活環境の保全を図ることを目的とする」と規定。廃棄物処理施設を設置する事業者に、施設の敷地境界線から水平距離500㍍以内の自治会の5分の4以上の同意と、かつ対象自治会を構成する世帯数の5分の4以上の同意を得なければならないとしています。

 規制対象は廃棄物処理法が定める産業廃棄物処理施設のうち、焼却・溶解・分解・洗浄・分離施設・最終処分場。

 産廃施設の新規立地をめぐっては、廃棄物処理法が定める要件を満たせば、権限を持つ都道府県と政令市、中核市が認可するのが通例です。そのため、住民の意向に反する施設計画に各地で紛争が起きています。

 今回の条例は、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)が定める行政当局への申請前の段階で住民合意を義務付けるもので、産廃関連事業者に対して高いハードルを課す内容といえます。

「人の輪」という財産を得た

 産廃焼却炉対策協議会は6月24日に声明文を発表。声明は、99・9%だめだろうと思いながら始まった反対運動を振り返り、10万人分の署名が関係者を突き動かしたと指摘。▽北摂連山を背にした田んぼ▽鵜殿のヨシ群生地▽カワセミなどの野鳥―など素晴らしい環境で暮らす素晴らしさをあらためて気付いたとし、協議会を「高槻・五領の環境と子どもの未来を守る会」と発展的に改組し、「素晴らしい環境を未来の子どもたちに残すため引き続き活動する」と表明。「何十倍もの得難い『人の輪』という財産を手にした」と述べています。


(大阪民主新報、2017年7月9日付より)

 

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