おおさかナウ

2018年07月14日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
「水際作戦」を法制化する生活保護法改悪

 「私は日本共産党を代表し、生活保護法の一部改正案及び生活困窮者自立支援法案に反対の討論を行います」(2013年11月12日、参院厚生労働委員会)

 2013年の参院選で日本共産党が非改選と合わせて11議席に躍進し、たつみ議員が国会初質問した第185臨時国会。11月12日の厚生労働委員会で、生活保護法改悪案について質疑し、採決に当たって反対討論しました。

生存権保障する法

生活保護法改悪に反対して質問するたつみ議員=2013年11月12日、参議院厚生労働委員会

生活保護法改悪に反対して質問するたつみ議員=2013年11月12日、参議院厚生労働委員会

 「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めた憲法第25条に基づいて、1950年に生活保護法は制定されました。

 同法第1条は、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、最低限度の生活を保障する」と規定し、「最低生活」を保障される国民の権利と国の義務を明記。誰でも受ける権利があるとする「無差別平等原則」(第2条)や、個々の事情を問題としない「必要即応原則」(第9条)など基本原理と枠組みを定めており、社会保障制度の根幹として「最後のセーフティネット」とも言われています。

 安倍政権は2013年、5年に1度の制度見直しに合わせ生活保護制度の大改悪を強行しました。

 社会保障費抑制を目的に、総額670億円の生活保護費を削減した2013年度予算を成立させ、1950年の法制定後、抜本改正されてこなかった生活保護法改悪案を通常国会に提出したのです。

 生活保護費削減は、過去2回の減額幅が0・9%(03年度)と0・2%(04年度)だったのに対し、受給世帯の96%を対象に、最大10%という大幅削減でした。

「水際作戦」法制化

 国会提出された改悪案は、生活保護申請の際、それまで口頭でも申請できた取り扱いを変更して書類提出を義務付ける条項を新設し、扶養義務の権限強化を盛り込む内容。自治体窓口で書類を受け付けない、いわゆる「水際作戦」を法制化するものだと批判が高まりました。

 従来は、福祉事務所の窓口で「申請したい」と口頭で意思表示したり、住所や氏名、申請する意思を記した手書き書面を送付しても法的には有効とされ、これらを正式な「申請」と認めない運用、つまり「水際作戦」は違法とされてきたのです。

 ところが改悪案は、資産や収入を証明する書面を添付し申請書を出すことを要件とし、さらに福祉事務所の判断で、申請者の親族に対し「扶養できない理由」を報告するよう義務付ける規定を設けます。

 申請のハードルは一気に上がり、ホームレスやDV被害者など窮迫したケースの申請を事実上、困難にすると批判が拡がりました。

 政府と一部メディアが、改悪案を不正受給の罰則を強化するものだと持ち上げたのに対し、日本弁護士連合会は「水際作戦」の合法化になると廃案を求め、1千人を超す大学研究者が反対の「緊急声明」を発表しました。

門前払い助長する

 日本共産党国会議員団は、2013年通常国会の論戦で、「水際作戦」を法制化する改悪案の問題点を徹底追及しました。

 福祉事務所を訪れた人が申請書を手にした割合は49・7%(11年)にとどまることや、栄養失調や食料不足で亡くなった国内の餓死者は、2000年の1314人から11年の1746人に増えているとし、「法律に書いたら義務になる」「経済大国、日本で餓死者がこれだけいるのは非常に重大だ」と批判しました。

 そして秋の臨時国会。11月12日に厚生労働委員会で同法改悪案について質問しました。

 「手書きの申請書をカウンターに置いて帰ろうとすると、忘れ物ですよと言って突き返そうとする事例もあった。母や妹に頼れ、借金があるなら受けられないと、何度も何度も申請の意思を口頭で表明しても断られた」

 たつみ議員は、所持金600円のシングルマザーを追い返した京都府舞鶴市の例を示し、「明瞭な意思を示しても門前払いするようなことがまかり通っている。改悪案が門前払いをいっそう助長するのは明らかだ」と批判しました。(この項続く)

生活保護法改悪をめぐる主な動き

・11年4月=社会保障審議会(基準部会)で制度見直し議論スタート。
・12年3月=自民党「生活保護に関するプロジェクトチーム(座長・世耕弘成参議院議員)設置。
・12年4月=お笑い芸人の母親が生活保護を受給していたと異様な報道。社保審特別部会で審議スタート。
・12年8月=「社会保障と税の一体改革」関連法が成立。
・13年1月=社保審(基準部会・特別部会)が報告書。厚労省が「生活保護制度の見直しについて」発表。
・13年2月=淀川生活生健会事務所に対し大阪府警が不当家宅捜索。
・13年5月=670億円の保護基準を削減した2013年度予算が成立。
・13年6月=生活保護法改悪案、衆院通過するも参院で廃案に。
・13年7月=参院選で日本共産党8議席へ。衆参ねじれ解消。
・13年9~10月=生保基準引き下げに全国で1万人を超す審査請求、提訴へ。全生連、大生連、淀川守る会に不当家宅捜索。
・13年11月=生活保護法改悪案、国会へ再提出。

(大阪民主新報、2018年7月15日号より)

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